エンジニアが映画評論家になるブログ

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エンジニアをしている普通のサラリーマンが、映画評論家になってどや顔で映画評論するまでの軌跡を綴るブログです

365日映画カレンダー(8/22) ダンスウィズミー

どうも、映画検定1級を合格し、この世界の人たちに映画のすばらしさを伝えるために命をかけている者です。すいません、命をかけているは嘘です。

 

さて、タイトルからし継続しないにおいがプンプンしていますが、これから僕は毎日、映画を鑑賞しさらにその感想(できれば「評論」というレベルにまで成長したい)を書いていきたいと思います。一年経ったあとには、年間を通してよかった映画ベスト10みたいな記事を書いてみようかな。

 

さて、さっそく映画についてですが。本日は邦画で最新作ということもあり割と見た人もいるのではないでしょうか。

 

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ダンス中にパンツらしきものが見えます

監督:矢口史靖(「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」)

上映時間:103分

 

【こういう人は鑑賞オススメ】

・難しいストーリーとかはどうでもいいから、頭をからっぽにして楽しみたい!

・中だるみのないテンポのいい物語が観たい!

 

**ここからはネタバレもあります**

 

 

「ミュージカルってさ、おかしくない?さっきまで普通にしゃべっていた人が急に歌いだしたりしてさ」

 

これは作中で鈴木静香(三吉彩花)が言うセリフである。静香は小学生のころ学芸会で主役になるも本番の舞台でゲロをはいてしまった過去があるという、印象的なトラウマをもつキャラクターだ。

 

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このシーンはなかなかシュールでよかった

 

静香はある日、あやしいマジシャンの手違いで「音楽がかかると歌ったり踊ったりせずにはいられない」という体質になる催眠術にかかってしまう。つまりミュージカルに登場するキャラクターのような、不可解な行動をとってしまうというわけだ。

 

僕たちは音楽に囲まれて生きていると言っても過言ではない。では、あやしい催眠術にかかってしまった静香はどうなるか?

 

時間、場所を問わずとにかく踊りまくってしまう

 

スマホから流れる着信音を聞いただけでキレキレのダンスを披露するし

大事なプレゼン中、突然流れる音楽に踊りだしてしまう静香。社内のフロアをかけめぐり

「もう音楽は聞こえてないはずだけど、どうしてまだ踊っているんだろう?」

という僕の疑問は無視してとにかくひたすら踊り続ける。

 

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僕がこんなことをしたら一秒で会社をクビにされ、「あいつ、やばっww」と言われるでしょう

 

さて、まずこの映画をみた感想として特に好印象だったのは

 

観る人が退屈しないようによく設計されている

 

ということだ。映画の上映時間は120分という作品が多い。本作は100分とやや短めだが、冗長なストーリーがだらだら進めばそれだけで観るひとにとってはかなりのストレスになるだろう。

 

しかしこの「ダンスウィズミー」ではいわゆる「ダレる」瞬間がなかった。

なぜなら物語の細かい説明はすべて「ミュージカル的」なパートがすべてやってくれるからだ。

 

例えばイケメン上司との恋のはじまりは

 

どこからか音楽が流れて、なぜか静香はイケメン上司と手をつなぎダンスを始める。

 

普通の映画なら「は?なんで急に前振りも特になくいい感じになってるの?」という違和感を覚えるだろう。

(月9のドラマなら、主人公とヒロインがいい感じの雰囲気になるのは4話目くらいだ)

 

しかしその違和感は本作を観るにあたっては抱かないですむ。

 

なぜならミュージカルだから。

 

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ミュージカルならば、ライオンが突然歌っても違和感はまったくない。むしろ当然のことのように感じてしまうのだ

 

これにより物語は本当にさくさく進む。なにかトラブルがあってもミュージカルパートに突入してなんとなくいい感じになって解決してしまう。

 

ブログの冒頭でも言及したが、頭をからっぽにして観ることができるというのはこういうことだ。伏線や複雑な人間関係も特になく、物語のスムーズな流れを音楽やダンスにあわせて鑑賞者は楽しむだけでいい。

 

しかしそのサクサクすすむストーリー展開が故に残念だった点がある。それは物語がすべて終わったとき、つまり静香の問題が解決し物語が収束に向かうとき、映画を観た人に訪れるべきである「カタルシス」をまったく感じることができなかった点である。

 

カタルシスとはかなり乱暴に言ってしまえば「すっきり」するという意味だ。

 

ではなぜカタルシスを感じることができなかったかと言うと、簡単に言ってしまえば「ストーリーがさくさく進みすぎるから」ということが一因にあげられる。

 

本来、物語の主人公は窮地に立たされ悩まなくてはいけない。

悩みに悩んで、その途中にちいさな成功や、さらにどん底につきおとされるような悲惨な出来事を経て、そして最後の最後にようやく物語は解決に向かっていくのだ。

 

静香は窮地に立たされるが、それほど悩んでいるようには僕には思えなかった。ストーリーのテンポにも問題はあると思うが、加えて主演を務めた三吉彩花の演技にも原因があると思う。

 

三吉彩花のダンスはすばらしかったし、彼女の表情にはやわらかさと力強さを同時に感じることができた。僕は彼女を一目みただけでファンになってしまった。しかし作中ではもっと静香の「葛藤」を表現できていたらもっとよかったように思う。

(完全にネタバレになるが、物語のラストで催眠術がとけるがそのとき静香は「あ、音楽がかかっても体が勝手にダンスしない。やったー」くらいの感じ)

 

それでもこの作品は観る価値があると思うし、見終わったあとは笑顔で帰ることができるだろう。エンディングのスタッフロールもそれこそ「それっぽい、いい感じの雰囲気」に包まれていてまさにミュージカルだ。

 

個人的に三吉彩香はかなり好きになったので、今後の主演作品は必ずチェックしたいと思う。

 

ブログ作成時間:20分