365日映画カレンダー(8/23) LEON
日中はエンジニアとして仕事をしているわけだが、ネットフリックスに加入し、通勤時間などの隙間時間を利用すればなんとか一日映画1本を観ることはできそうだと分かった。隙間時間の有効活用って本当に大切で、実は一日のちょっとした時間を集めると映画1本みれるくらい(つまり2時間)になるというのは自分的にはショッキングな事実だったな。どんだけ人生無駄にしてるんだっていうね。
さてネットフリックス童貞である僕は、喜々としながら一体どんな映画があるんだろうとアプリ内を探索していると・・・
レオン(完全版)があるじゃないですか・・・というわけでさっそく鑑賞してみた。吹き替えと字幕を選択できるけどここは字幕にした。吹き替えの声優さんも非常に魅力的だが、レオンは字幕でみるべきだと思う。
あらすじはネットでたたけば簡単に出てくるし本当に有名な映画なので割愛します。
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「LEON」
1994年 リュック・ベッソン監督
レオン(ジャン・レノ)
マチルダ(ナタリーポートマン)
スタン(ゲイリー・オールドマン)
ちなみにフランスとアメリカの合作映画でアメリカ版だとタイトルは「The Professional」らしい。「LEON」の方がタイトルとして適切だと思う。
まずは簡単にレオンを鑑賞するに至った経緯を簡単に書きたい。
ブログ冒頭でも書いたように、ネットフリックスに加入したため隙間時間に映画を観れるようになった。さてじゃあ一体何の映画をみようと思ったときに目にとまったのが「LEON」だったわけだが、実はそれよりすこし前にちょっとした出来事があった。それは会社の同僚と映画の話をしていたときだ。
「なんかオススメの映画ってあります?」
食堂でお昼ご飯をも黙々と食べていると、ラーメンをすすっていた同僚がそんなことを聞いてきた。同僚いわく、休日の暇な時間に映画でもみたいが何かオススメがあれば教えてほしいとのことだった。
オススメ映画という漠然とした要求にこまった僕はとりあえず大好きな映画「アナコンダ」をすすめた。もちろん「アナコンダ2」ではなくて、初代アナコンダのほうだ。
「う、うん……アナコンダはいいや」
「なんで?アナコンダおもしろいよ。人間をたくさん食べちゃって、アナコンダのお腹がパンパンになるシーンとか最高だから!」
同僚の食べるラーメンの麺がアナコンダにみえた。同僚は僕の視線に気づいたのか、麺をすするのはやめてレンゲでスープをすくった。
「もっと・・・こう、感動できる、いわゆる名作がいいかな」
アナコンダだって感動できる名作なのにと思いながら僕はどの映画を薦めようか考えていた。
「古い映画になってしまうけどいい?」
「いいよ」
それが「LEON」だった。
翌日、同僚は
「めちゃくちゃよかったよ!」
と映画の感想をいってくれた。そこで僕がふと思ったのは
どうして「LEON」は時代や年代をこえ「名作」と言われ続けるのだろうか?
その魅力はいったいどこにあるのだろう?
そんなことをぼんやりと考えていたときにネットフリックスで「LEON」をみつけ、ふたたび観ることにした。ちなみに僕がはじめてLEONを観たのは中学生くらいのときだったはずだ。(そのときももちろん感動した)製作されてから20年以上が経つというのにその魅力は色あせるどころか、当時の中学生だった僕では感じることができなかった奥深さを味わうことができた。
魅力的な映画の条件は多岐にわたるだろう。映画は総合的な芸術作品だからだ。
ストーリー。映像。音楽・・・・・
そして「キャラクター」。
「レオン」という映画の魅力を語るにあたり、登場人物に焦点を当てるのは間違っていないはずだ。個人的にはゲイリー・オールドマン演じるスタンがクスリが決まってラリってるシーンが最高にクールだと思うが今回は主人公のレオンとマチルダのみに焦点を当てていきたい。
映画「レオン」はレオン、マチルダの欠落、補完の物語
レオン、マチルダはそれぞれ「欠落」をもっている。僕たちは人間である以上当然なにかしらの欠落をもっているわけだが、レオンの場合「誰も愛さない、愛せない」という欠落、そしてマチルダは「誰からも愛されない、愛してもらえない」という欠落を抱えて苦しみながら生きている。
レオンは孤独な殺し屋だ。彼の生活の様子は劇中でも描写されているが、朝おきて殺しのためにトレーニングをし、唯一の親友だと語る観葉植物の世話をし、そして人を殺すために街へくりだす。家にかえると自分の体と魂の汚れを洗いなすようにシャワーをあび、銃をそばにおいて椅子に腰かけて眠りに落ちる。彼はそんな生活をこれまでずっと続けてきたのだ。
一方のマチルダは複雑な家庭環境で育ち、唯一心を開いていたのはまだ五歳の血のつながっていない弟だけだった。しかし両親、弟はある日殺されてしまい、弟を失ったマチルダは悲しみにくれる。
上記のように欠落を抱えた二人は共同生活をするなかですこしずつ「補完」をしていく。誰からも愛してもらえなかったマチルダは、レオンの不器用ながらも純粋なやさしさに惹かれていく。マチルダは自分の中で起こる心情の変化に対して、彼女はそれを「愛」であると理解するのだった。(ナタリーポートマンの演技は最高。無邪気に笑ったり、憂いを帯びた顔で窓の外を眺めたり、大人顔負けのセクシーなしぐさをしたり・・とにかく表情が豊か!)
一方のレオンはマチルダと生活するなかで愛することのすばらしさをしる。さらには自分を大切にするということがどれほど大事であるかをしる。映画を鑑賞しながら、この二人の関係がいつまでも続いてほしいなという感情が芽生えてきたところで物語のラストにはショッキングな展開が待っている。ちなみに僕はラストでめっちゃ泣いた。
レオンはマチルダにこう言っていた。
「人を殺せばすべてが変わり取り返しがつかないことになる」と。
しかしこの映画はバッドエンドではない。グッドエンドでもない。ラストシーンのマチルダの表情から察するに、彼女はこれから力強く生きていくのだろうということが分かる。
ところで、この映画のメッセージを「純粋な愛の物語である」と捉える人もいるようだが僕は違うと思う。レオンとマチルダ、二人の間に結ばれていたのは愛ではなく、深い慈愛に満ちたものでありそれに対して名称をつけることはできないと考えるからだ。
もしこのブログを最後まで読んでくれた読者で「LEON」をまだ観ていないという人がいるなら是非とも鑑賞してほしい。あなたにはこの映画はどのように映るだろうか。