エンジニアが映画評論家になるブログ

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エンジニアをしている普通のサラリーマンが、映画評論家になってどや顔で映画評論するまでの軌跡を綴るブログです

親バカ映画って酷評しないで! 「アフターアース」感想

365日映画カレンダー 8月28日 

 

アフター・アース(2013年)

ジャンル:SFアクション映画

時間:100分

監督:M・ナイト・シャラマン

 

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このシーンだけ観るとめちゃくちゃ期待してしまうが・・・

 

概要

youtu.be

物語の舞台は西暦3072年。

伝説的な兵士であるサイファ(ウィル・スミス)とその息子キタイ(ジェイデン・スミス *ウィル・スミスの息子)は宇宙遠征の途中、予想外の事故によりある惑星への不時着を余儀なくされる。

その惑星は変わり果ててしまった地球であった。

負傷した父の代わりにキタイは救命信号を発信させる「ビーコン」を探しに出るが、さまざまな危険がキタイを襲う。

 

感想

結論:おしい映画。

つまらなくはない。

しかし、「名作映画」という評価は到底できないかなというのが僕の率直な感想だ。こういう感想を抱くのは僕だけなのかなと思ってネットで映画の評価記事を読んでみると、多くの人が僕と同じような感想を持っていることが分かった。

では多くの人が酷評するように、この映画は特徴がない、人々の印象に残らないような中途半端な作品なのだろうか?そして僕も同じように批判的な意見をこのブログに綴るのか?

 

いや、そんなことはしない。

 

映画を批判するのは簡単だ。つまらない、の一言ですむ。しかしどんな映画であっても一本の作品を生み出すためにあらゆる分野のエキスパートたちが集まり、膨大な時間とお金を費やして作品は完成する。

この映画だってもちろんそうだ。

だからこの映画の感想を「ウィルスミスの親バカ映画」とか、「すべてが中途半端な駄作」とか「M・ナイト・シャラマン監督の評価をさらに下げることになった映画」などと評価しない。

僕は映画の楽しさをいろんな人に伝えたいと常日頃から考えている。したがって、この映画のよかったところを自分なりに分析し、さらにもっと映画をよくするためにはどうすべきだったのかを勝手に考察したい。

 

設定は意外といい

いや、本当に設定は意外はいいんだよな。「意外」と。

以下では僕がいいなと思った設定と、それに対しての簡単な感想を記す。

 

●ここが良かった① 舞台設定

人間が地球の環境をぶっこわして違う惑星に移住するというパターンはもうやりつくされている。しかしこの設定自体はどうでもよくて、今作特有の設定として

 

移住した先の惑星には先住民(エイリアン)がいて、勝手に移住してきた地球人を殺すために巨大生物「アーサ」を放ったことによりせっかく移住してきた人間は絶滅の危機に瀕する

 

というものがある。

いいよ!いいじゃない・・・!

しかも敵の形状もなかなかかっこいい。例えるなら「グエムル」みたいな感じか?

 

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いや、嘘でした。こんなにかっこよくありません

 

しかもその生物「アーサ」には弱点があって

①目がみえない

②その代わりに人間の恐怖心のにおいをかぎわけることができる

 

うーん・・なんだろう。

急にチープな設定に感じるんだよなぁ。(恐怖心をぬぐいさることに成功すると敵である「アーサ」はその人間を認識することができなくなるのだけど、その技につけられた名前はなんと、「ゴースト」。ださっ!)

 

主人公たちが成長するために作られた感満載の的の弱点。映画開始10分くらいで「あ、どうせ主人公が最後に恐怖を克服してハイオワリってパターンなんだろうな」という予想ができてしまうところが残念だった。

 

敵の設定自体はまあまあよかったのに、この敵が登場するのはラスト15分くらいだけ!しかも大して残虐的なシーンが描かれることもなく主人公にあっさりと殺されてしまう・・・・せっかくのラスボスなんだからもっと大切に扱ってほしいものだ。

 

●ここが良かった② 近未来の武器

 

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22種類もの形状変化が可能な武器「カトラスC-40」

科学技術が発達した未来が舞台ということもあって登場する武器はクール。

今作で主人公たちが使用する武器は上記画像の「カトラスCー40」だ。

なんと22種類もの形状変化が可能で、槍になったり双剣になったり・・・・・それ以外にもきっとかっこいい形状に変化することができるのだ。じゃあそのかっこいい形状変化について細かく説明したいのだが、作中でわずか5種類くらいの形状変化しかみることができない。

 

というか、この武器はほとんど役にたっていない。

 

●ここが良かった③ 変わり果ててしまった地球

ずっと昔に人間たち地球をすて、違う惑星に移住してしまったという設定だが、その理由というのは単純に環境破壊のために地球で住むことができなくなってしまったからだという。

じゃあさぞかし荒れ果てた地球の姿が見ることができるんだろうなーと思っていると・・・

 

地球、めちゃくちゃきれいやん・・・・

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緑豊かです

 

これは「人間がいなくなったからこれだけ綺麗な惑星になったよー」っていう嫌みなのかもしれないけど、もっと荒れ果てていてとても人間が住める環境ではないという描写にした方がよかったのはないか?

もちろん地球の環境は僕たちが住むそれとは大きく変化していて

 

①危険な生物がいっぱい!

②夜になると10分で5℃気温が下がる

 

特に②について、確かにこれでは人間は住むことができないだろう。でもツッコミたくなるポイントとしては、もっと目に見えて「これは僕たちが知っている地球じゃないんだ!」っていう描写がほしかった。

①についても、作中に登場するのは「でかい猿みたいな動物」「鳥」くらいで、まあラスボスである「アーサ」以下の化け物を登場させないといけないからたぶんこうしたんだろうけど、とにかくインパクトに欠ける。

 

地味に怖かったのが主人公キタイが川に入ったときに寄生虫に手を噛まれ、神経毒によって死にかけるというシーンがあるのだが、正直このシーンが一番主人公ピンチの場面だったのはないだろうか。

うーん・・・地味

 

ではどうすればもっと作品の質があがったのか

そのとき映画を作った人の判断が「ベスト」だと思うから僕がどうこう言ったところで意味はないのだろうけど、ここを改善すればよかったのにという点をざっくりと箇条書きする。

 

・登場人物があまりにも少ないので主人公たちの人間性を深めるための脇役を用意すべきだった。

(例えば生き残りの兵士がいて、キタイと共に行動するが途中で「アーサ」に殺されちゃうとか。その仲間は父親の部下で、父親の偉大さをキタイに教えるとか・・いくらでもやりようはあると思う)

 

・アーサはもっと凶暴のほうがいい

・地球、住みやすそうだからもっと過酷な環境に

・キタイが簡単に覚醒するのではなくちゃんと葛藤をのりこえてほしい(よく分からんうちに「ゴースト」を体得する)

 

映画時間が100分だから、120分にして上記を補完すればもう少しまともな映画になったのでは?

 

ウィル・スミスの親子出演について

いろいろ酷評されているけど、キタイ(ジェイデン・スミス)の演技はよかったけどな。特に父親に自分の不満をぶつけるシーン

(どうせ僕を臆病だと思っているんだろ!って叫ぶシーン)は迫真の演技だったと思う。実際に親子関係があるからこそできる演技があるのだろう。

 

まとめ

映画のことをほめるつもりが結局ダメだしが多かったな。(笑)

大きな感動はないけどそれほど駄作というほどでもないので、めっちゃ暇な人は見てもいいし、正直見なくてもいいと思う。

 

ブログ作成時間:30分