エンジニアが映画評論家になるブログ

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エンジニアをしている普通のサラリーマンが、映画評論家になってどや顔で映画評論するまでの軌跡を綴るブログです

邦題タイトルが親父ギャグ! いろいろな意味でさすが韓国映画 「新感染 ファイナル・エクスプレス」

365日映画カレンダー 9月15日 「新感染 ファイナル・エクスプレス」

 

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主人公が「羽生結弦」にそっくり

 

ゾンビ」と言われれば今や誰もが生きる屍であるゾンビの姿を簡単に連想できると思いますが、ゾンビの歴史を調べてみたところ意外にも日本に認知されたのは1980年代らしく、結構最近なんだなということにまず驚きました。

 

さて、僕が今回観た映画は「新感染 ファイナル・エクスプレス

 

韓国ではまだゾンビ映画はあまり浸透していないらしく、今作では「ゾンビ」というキーワードは出てきません。

しかしゾンビ映画としての今作の評価は世界的にも高く、さまざまな映画賞を獲得しているみたいです。

 

ところで原題は「釜山行プサン行き)」。

それに対して日本版のタイトルは「新感染

今作の主人公は、乗り込んだ列車内でゾンビによる襲撃にあいます。

 

新感染・・・

 

しんかんせん・・

 

新幹線・・・(笑) まさかの親父ギャグ。

 

youtu.be

 

 

概要

仕事人間のソグは妻と別居をしており、年老いた母、そして娘のスアンと暮らしていた。

 

ソグは娘の誕生日に何が欲しいかと尋ねると、「釜山にいるお母さんに会いたい」とスアンは言う。

 

ソグは娘をつれてソウル発釜山行きの列車に乗り込むが、突然、凶暴化した乗客が別の客を次々と襲い車内はパニックに包まれてゆくのだった。

 

ゾンビメモ

・ゾンビという呼び方はコンゴという国で信仰されている神「ンザンビ」(Nzambi = 不思議な力を持つ者)に由来する。中米や西インド諸島に伝わってゆくなかで「ンザンビ」が「ゾンビ」に変化してしまった。

 

・ゾンビの起源は西アフリカのベナンカリブ海のハイチという地域で信仰されている民間信仰ブードゥ教にある。

 

・ブードゥ教にはボコ(呪術師)よばれる術者がいて、彼らは腐敗する前に死体を墓から掘り起こし、死者の名前を連呼することで死体を蘇られる力があると信じられていた。

そして蘇った者の両手を縛り、農園や工場に奴隷として売り渡す。

死者の魂は壺の中に封じ込められて、蘇った人は永遠に奴隷として働かなくてはならない。

 

・1915年アメリカがハイチを占領。その結果、ハイチの文化がアメリカに伝わる中で「ゾンビ」というモンスターがうまれる。

 

・1932年、世界初のゾンビ映画ホワイト・ゾンビ/恐怖城」が公開される。ゾンビの設定は先述したハイチの伝承に基づいているため、ゾンビは主人に従い、人を襲ったりはしない。

 

・1954年、アメリカのSFホラー作家リチャード・マシスンが小説「アイ・アム・レジェンド」を発表。

ストーリーは全世界の人間が吸血鬼となってしまい、たった一人になった主人公が生きるために吸血鬼たちと戦うものであり、大きな話題を呼んだ。

 

・上記の小説に触発された「ジョージ・A・ロメロ」は「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を発表。カルト的な人気を呼んだ。

人間を襲うモンスターは登場するが、作中では「ゾンビ」という言葉は使われない。

 

・1978年公開された、ショッピングモールを舞台にした映画、「ゾンビ」(原題『Dawn of the Dead』)が発表される。今作にて基本的なゾンビの設定が確立される。つまり

 噛まれた人間もゾンビになってしまう

 脳を破壊しない限り動き続ける

 

・日本でゾンビが認知されるようになったのは1980年代前半。家庭用ビデオデッキが普及したことが一因にある。

 

・1996年にゲーム「バイオハザード」が発売される。全世界で9100万本の売り上げを記録し、このゲームのヒットにより米英合作映画「バイオハザード」が公開。「ゾンビ映画」というジャンルが確立され、基本的な設定は踏襲しつつもさまざまな要素を取り入れたゾンビ映画が制作されるようになる。

 

感想

ゾンビについて調べたことをメモしていたら思った以上に長くなってしまいました。

さて映画の感想の前にゾンビ設定や今作の登場人物たちについて説明していきます。

 

ゾンビ設定

発生原因:

不明。豚コレラ?とかが原因っぽい。というかもう発生原因なんて観る人も気にしていないのかな。

 

特性

 

・噛まれた人はゾンビになってしまう

噛まれた部位に依存するのだろうけど噛まれてもすぐにゾンビになるわけではない。

主要な登場人物がゾンビになるときはしっかりとお別れをする時間が設けられている。なんでだよ。

 

・視力が悪い

トンネルに入って車内が暗くなると人間を感知できなくなってしまう。しかし目が悪いわりには主人公たちを追いかけるときに障害物はきっちりよけるし、どのゾンビも転ばない。なんでだよ。

 

・パワーはかなり弱い

ガラス扉も破壊できないし、一対一なら普通に戦える。この設定は賛成!だいたい肉体的には死んでるのに常人以上のパワーがでるっていう設定はどうにも違和感があるから。

 

儒教思想について

僕は韓国ヘイト感情は一切ないのであしからず。

 

ところで僕の友人(韓国人)が映画「千と千尋の神隠し」を観たときにあるシーンで泣いてしまいました。それはどのシーンだと思います?

 

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まさかのシーンで泣く友人

韓国って儒教思想が強いらしく、その思想とは

 

年長者を敬い

家族を大切にする

 

という教えをベースした考え方です。

だから千と千尋の神隠しの上記画像のシーンを観た友人は、豚にされた両親の姿をみて「まじで怖ぇ・・・オマー!」と言って震え上がっていました。(オマーは「お母さん」の意味)

 

さらに儒教には五常という概念があり以下のようになっています。

 

仁・・人を思いやる

義・・恩に報いる

礼・・仁を具体的な行動として表したもの

智・・学問にはげむ

信・・親睦を深める

 

今作「新感染」はこの五常を、「しっかり実行しようぜ!」っていうメッセージが込められているように思います。

 

感動の詰め合わせ! 都合のいい登場人物たちが都合よく集まる!

今作は「あらゆる人を感動させる」ことを明確に意識しています。

 

どうしてそんな見方でしか映画を観ることができないの?性格悪い!

と言われてしまいそうですが、登場人物たちのプロフィールをみていけば僕がそう思うのも納得してもらえるはずです。

 

**主人公サイド**

①主人公・・仕事人間。妻と別居中。娘の気持ちが分からない。

②娘・・別居している母に会いたいが、もちろん父も好き

③母・・主人公の母親。息子と孫が心配

 

 

**主人公サイド以外**

④出産間近の夫婦

⑤高校生カップル(まだ付き合ってはいないっぽい)

⑥偉い人(バス会社の常務)

⑦高齢姉妹

⑧ホームレスっぽい格好をした男

 

どうでしょう?

 

なんとなく上記メンバーの説明を聞いただけで、登場人物たちが作中でどんな動きをするか予想できませんか?

 

上記のメンバーたちは死んでいくわけですが、死ぬときにはみんな感動的な言葉を残して死んでくれます

⑤の高校生カップルなんかは一体どこに感情移入すればいいのかよく分からないまま、なんとなくいい感じに二人そろって仲良く死にます

 

ちなみに登場人物のなかで僕のお気に入りは⑧のおっさんで、それまで主人公サイドの足をさんざん引っ張った挙げ句、最後には

いけっ!はやくいけ!

という謎の勇気をみせて死にます。

正直キャラの性格が定まっていなかったのだろうなと思います。

 

⑤と⑦の登場人物は不要だったかなーというのが個人的な感想です。登場させるんだったらもうすこしエピソードを描写して、感動ポイントを作ってもらわないと。

 

まとめ

作品の質的にはそれほど低くない。というのが僕の感想です。

しかし記事に書いているように感動シーンをいろいろ無理に詰め込みすぎているためそのひとつひとつがスカスカで、それほど感動できなかったなという印象ですかね。

 

そもそもゾンビ映画なのか

ゾンビが登場する、家族の絆を描いた映画なのか

 

監督はどっちを描きたかったのだろう。いずれにもせよ描写が中途半端でしたね。

 

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