エンジニアが映画評論家になるブログ

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エンジニアをしている普通のサラリーマンが、映画評論家になってどや顔で映画評論するまでの軌跡を綴るブログです

正直そこまでやるとは思っていなかった!松坂桃李が娼夫を熱演 映画「娼年」

365日映画カレンダー 9月17日 「娼年

youtu.be

 

原作は石田衣良さんの「娼年」。

石田衣良さんといえば「池袋ウェストゲートパーク」でも有名な売れっ子作家です。

余談になりますが、石田衣良さんの名字は「石平」というそうです。

そのまま読みにしてみると、「いしだいら」。

さらに音に漢字をあてると・・・

石田衣良

なるほどって感じになりますよね。

このペンネームだと電話で仕事のやりとりをするときにすごく便利なのだそうです。電話口で

 

いしだいらです」

 

っていえば本名もペンネームもどちらも対応していますからね。 賢い!

 

さて僕は小説を読むほうなのですが石田衣良さんの作品は特に好きで、今回映画「娼年」を観るにあたって

 

どれくらい小説の描写を再現できているか

小説にはできない、映画ならではの表現ができているか

 

という観点でみました。

 

結論から言ってしまえばやっぱり小説の世界観には及ばなかったかなという印象です。

しかし出演している俳優さんたちの演技はすばらしかったです。

特に松坂桃李

ここまでやっていいの?

と言いたくなるほどガッツンガッツンセックスをしていました。

あと、濡れ場シーンはかなり多めなので家族と観るのは絶対に辞めた方がいいです。(笑)

 

 

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主人公リョウ役の松坂桃李の表情はグッド!原作に忠実に「いつも何かを悩んでいる」主人公を見事に演じていたと思う

 

概要

女性にもセックスにも楽しみを見いだせない大学生のリョウは、女性向けの会員制ボーイズクラブのオーナである御堂静香に誘われて娼夫の仕事を始める。

 

感想

レビューサイトを見ると辛辣なコメントが多いが、物語の設定はものすごくいい

映画のレビューサイトを見ると厳しい意見が多かったですね・・・。

 

・ただのポルノ映画

松坂桃李のAV

・結局なにが言いたいのかさっぱり分からん

 

小説を読んでいない人からすると確かにそう思ってしまうのも無理があるかもしれません。

松坂桃李が過激な演技に挑戦する、という部分にあまりにも時間を割きすぎてしまったために、登場人物たちの内面がほとんど説明できていないんですよね。

 

特に主人公リョウに関しては「幼いころに母を亡くしており、今でも忘れることができないでいる」わけですが、その辺の描写も作中ではほんの少ししかなくて初見の人にはなかなか伝わりにくいのだと思います。

 

今作のテーマとは?と聞かれたら僕は「主人公リョウの、成長の物語である」と答えます。

「成長」というポジティブなワードと「娼夫」、「セックス」とがなかなか結びつかないかもしれませんが、リョウは娼夫としてたくさんの女性と接するうちに次第に変化していきます。

 

その変化は原作だとしっかりと描写されています。以下、引用文です。

 

女性ひとりひとりのなかに隠されている原始的な欲望を見つけ、それを心の陰から実際の世界に引き出し実現する。

 

それが娼婦の仕事だと僕は考えるようになった。

 

ぼくは娼夫になり、より自由になった。

 

ある人が語るストーリーが世間の常識やよい趣味からはずれていくとき、身をひいて心を離してしまうのではなく、それまでよりもっと耳を澄ますようになった。

 

欲望の秘密はその人の傷ついているところや弱いところにひっそりと息づいているからだ。 

 

この二つの文章を読んでから映画をみるだけで、かなり印象が変わると思うんですよね。

逆にこの文章を見ないでそのままの映像だけで作品を理解しようとすると

 

かなりマニアックな趣味をもった女性たちが登場する映画

 

という間違った判断をしてしまうかもしれません。

 

娼夫として出会う女性たちのトラウマや悩み、葛藤にそっと寄り沿い、彼女たちの欲望を具現化させていく過程でリョウ自身も次第に喜びを感じるようになっていきます。

 

それまでは「セックスなんて退屈な単純作業」と思っていたリョウですが、そうではないということに気がつきます。

このように今作はリョウの成長を描いた物語であって、過激な性描写をウリにした映画ではないということが分かっていただけたのではないでしょうか。

 

特に印象深い登場人物

・ヒロミさん

 

「ねぇ、ここでしよう」

彼女が鉄の扉に手をついたのがわかった。

尻をこちらにむけているようだ。

間違いようのない性器のにおいが立ち上がってくる。

彼女の尻を両手で引きあげるように割った。

 

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出会った当初は落ち着いた大人の女性・・・という感じだったけど、ホテルに着くなり激しくリョウを求める。めちゃくちゃ色っぽかった。

 

・イツキさん

 

「あっ」

彼女は椅子から飛び降りるように離れた。

肩幅ほどに広げた足が床につくと、そのままつま先立ちしている。

太ももが痙攣を起こしたように震え、たたきつけるような水音がした。

 

イツキさんは彼女と対等の会話ができるくらいの知性を持ち合わせた男性に

「自分のおしっこをしているところをみてもらいたい」

という欲求をもっています。

こういう趣向の人も間違いなく一定数いるんだろうな。人間って面白い。

 

・七十歳の女性

 

「・・・よかった」

温泉に肩までつかったように漏らす。

僕は目を丸くしてとなりに座る小柄な老女を見つめていた。

「あの、今ので、いっちゃったんですか」

老女は紅潮した頬でうなずいた。

 

手をにぎって、若い男が話すのを聞くだけでエクスタシーを感じることができる女性です。

歳をとるとこんな芸当ができるそうです。いや、無理だろ(笑)

 

・アズマ

 

「あっ」

僕とアズマの声は同時だった。

アズマは口をおおきく開けたまま、頬を寄せて不可解な角度に曲がった小指を見ている。

 

苦痛と快楽の回路が壊れてしまっている少年アズマ。

リョウに小指を折ってくれ、と言うシーンはさすがに直視できなかった。

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まとめ

性描写のシーンにどういった意味が込められているかを考えると映画の見方が変わると思います。

原作が既読という人はすこしイメージとちがう、という感想をもつかもしれません。もっと映画ならではの工夫があるとよかったんですけど、映像と音楽は意外と普通でそこは残念でしたね。

 

ブログ作成時間:30分