漫画版と映画版で真逆の結末。だが、それがいい 映画感想「ヒミズ」
365日映画カレンダー 10月12日 「ヒミズ」
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おすすめ度
4:どれだけ絶望的な状況であっても、誰だってやり直せる。そう思わせてくれる映画
【おすすめ度は1が低評価。5が高評価。あくまでも独断と偏見による評価です】
【ざっくり感想】
原作は漫画「行け!稲中卓球部」でおなじみの古谷実による「ヒミズ」です。タイトルにもなっている「ヒミズ」の意味ですが、「日見ず」というモグラの名前が由来になっているようです。
そのモグラは山の中で暮らしていて、ほとんど日光にあたることがないことから「日見ず」という名前がつけられているのだとか。そういう意味では今作の主人公はまさに「日見ず」で、光をしることなく暗い森をずっとさまい続けるかのような人生を送っています。シンプルなタイトルだけど深い意味が込められていていい感じ。
さて「稲中」のイメージがかなり強い古谷実ですが、今作「ヒミズ」くらいから漫画の路線が大幅に変更されて今作以降はかなり暗い話が多くなった印象です。だいたいヤクザが出てきたり、人が死んでしまうような事件に主人公が巻き込まれるパターンが多いような気がする。
漫画版の「ヒミズ」を読みましたけど、ラストはめちゃくちゃ鬱展開だったので、映画版はどんな感じなのか楽しみにして観ましたけど、映画版のラストはすごくよかったですねー。
ちなみに映画公開付近で東日本大震災が発生したこともあり、脚本が大幅に改変されたそうです。そのことを最初知ったときは正直、「震災を絡めるのはどうかなー」と思いました。
なんとなくあざとい、というか・・けっきょくのところ震災をダシにして話題性が欲しいだけなんじゃないかなーと邪推してしまっていて、実際に映画が公開されたときはかなり批判も多かったみたいですね。
ただ、映画に込められたメッセージ性はとても強くて、被災した人のみならず「自分だけの力だけではどうしようもない状況」に苦しむ人たちにむけたエールが込められていたように思えます。
概要
感想
「普通」であることが、どれほど幸福であるか考えさせられる
今作に登場するキャラクターのほとんどが「普通」じゃない状況に陥っています。
まあ「普通」ってなんなの?っていう話になってしまいますが
主人公の住田は小さな貸しボート屋で母とふたりで暮らしているわけですが、母はある日突然いなくなり、そして不定期に彼のもとをおとずれる父親はどうしようもない人間で、暴力をふるったり「おまえなんか死んでくれればよかったのに」と吐き捨てます。住田はそんな父親に対し「俺はおまえみたいなクズには絶対にならない!」と誓います。
また主人公の理解者である茶沢さんは親からネグレクト受けており、住田同様に両親から必要とされていません。ある日茶沢さんが家に帰ると、両親の手によって首つり台がつくられていてそれによって自殺するように茶沢さんにすすめたりします。ある意味、住田よりもきっつい家庭環境かも・・
とまあこんな感じで登場人物たちをとりまく環境は最悪で、普通ではないです。
僕たちが普段生きているなかで
「あー退屈だなー」
とか
「なんか普通じゃないこと起きないかなー」
なんてことをついこぼしてしまうわけですで、今作の主人公たちはまさにそんな「普通」の生き方を切望しています。
そんな普通を求める登場人物たちの姿があまりにも切実で、まっすぐすぎて・・映画をみていて僕は自分が手にしている「普通」をもっと大切にしなければいけないなと思いました。
東日本大震災がおきたときも「とんでもないことが起きている」という認識はもちろんありましたが、それでもやはり当事者ではない僕にとっては「どこか遠い場所で起きている出来事」だったと思います。
被災した人たちの気持ちに寄り添うなんてことは簡単に口にするべきことではないと思います。
しかし、この世界では想像もできないほど苦しい状況に陥っている人たちがいて、そんな状況に対して必死に立ち向かっているんだ、ということくらいはせめて胸にとどめておきたいと思いました。
そう思うことで、自分が当たり前のように手にしている「普通」を、もっと大切にできるような気がするからです。
ラストは本当によかった
映画の感想を書くうえで「ラストがよかったぜ!」ってやってはいけないような気がするが、本当に良かったので・・許してください。
僕は漫画は既読済みだったので途中までは
「うわー漫画通りのラストかー。めっちゃバッドエンドやん・・」
と思っていました。とはいえ僕自身バッドエンドも好きなので、どれほど絶望的な感じで終わらせてくれるのだろうと思っていたわけですが、今作のラストはバッドエンドではなく、非常に前向きで希望に満ちあふれたラストになっていました。
しかも主人公たちは15歳の中学生ということもあってもか、瑞々しくて、本当にさわやかなラストに仕上がっていて例えるならポカリスエットを飲んだあとのようなスッキリとした気持ちになります。30歳のおじさんにはポカリスエットはあまりにもさわやかすぎて、涙がでそうになりました。
さて、映画版は漫画版のラスト容を180度変えてしまったわけですがその改変はすごくよかったです。
主人公である住田の理解者である茶沢さんがラストに
「住田! 頑張れ!」
と泣きながら叫びます。彼女は何度も何度も住田にエールを送り、それを横で聞いたいた住田も同じように
「住田!頑張れ!」
と、普通ではなくなってしまった自分自身を鼓舞するように何度も何度も叫びます
もう・・このシーンは青春全快、かつ前向きなイメージで本当によかったです。
「住田!頑張れ!」と叫ぶシーンは、映画を見ているすべての人たちに向けてのエールだと僕は思いました。
ブログの冒頭でも触れたと思いますけど、この当時の日本は東日本大震災によってもたらされた悲しみに包まれていました。本当に想像もつかないくらい多くの人たちが悲しみにくれていて、絶望的な気持ちになっていたと思います。
そんな人たちに対して今作は
「頑張れ」
「大丈夫だから」
「きっとやりなおせる」
と、主人公ふたりを通してエールを送っていて、住田の暗い人生に一筋の光が差し込むようなラストの展開は、映画を観る人たちを前向きな気持ちに押し上げてくれるのではないでしょうか。
主演をつとめた二人の演技もよかったです。
特に茶沢さんを演じた二階堂ふみの表情、セリフ回しは非常に印象的で、茶沢さんの
素朴でちょっと変わり者だけど、芯が強くて優しい少女
っていうキャラクターが上手に表現できていたと思います。
個人的には二階堂ふみは宮崎あおいに通じる透明感があると思う。
え、誰も共感してくれない?(笑)
小話
・映画→漫画
・漫画→映画
どっちでもいいですけど、要するに
「漫画も映画も両方みてほしい」
です。漫画は巻数がそれほど多くないので数時間で読めると思うし、絵もシンプルだから読みやすいはず。
推薦する理由としてはやっぱりラストの展開が全く別だから、ですかねー。
特に漫画の方は誇張でもなく本当に救いようのないバッドエンドなので是非みてもらいたいです。
ブログ作成時間:30分
嫌なことなんて忘れちまえ! 一週間しか記憶が持たないヒロイン(笑) 映画感想「一週間フレンズ」
365日映画カレンダー 10月8日 「1週間フレンズ。」
おすすめ度
3:内容はうすいですけど、雰囲気は良い。
【おすすめ度は1が低評価。5が高評価。あくまでも独断と偏見による評価です】
概要
もう映画の概要はぶっちゃけ予告を観た方が早いような気がする(笑)
↑ 150万人が感動したらしいです。
感想
ツッコミどころの多い展開!もう、最高!(笑)
いやーヒロイン病気系の映画って本当に最高ですよねー。
なにが最高って、「感動させる」ためにいろいろ無理矢理設定をつくっているからツッコミどころ満載でみていて本当に面白い(笑)
もうどこからツッコんでいいのか困ってしまいますけど、これだけは言わなくてはいけないのが
ヒロインの記憶は1週間経つとリセットされてしまう
ことについて。
健忘症といった症状も実際にあるし数日経つと記憶がなくなってしまう人は実際にいるのだろうけど、今作のヒロインは「友人に関する記憶」だけが器用になくなります。
そのようになってしまったきっかけは二つあって、まず一つは交通事故。もうこれは鉄板ですね。とりあえず事故にあわせておけばなんでもあり、という短絡的な考えは僕個人としては結構好きです。(笑)これからも映画のなかでたくさんのヒロインたちが車に轢かれるんだろうなー。
そして二つ目の原因は「中学時代の、男女間のトラブル」です。
簡単に言ってしまうと・・・
・中学時代ヒロインのクラスには超モテモテのイケメン君がいた。
・ヒロインの友人がそのイケメン君が好きだった
・しかしイケメン君はヒロインのことが好きで、ヒロインに告白しようとする
・すると友人から「自分だけぬけがけして!」という全く意味不明のひがみを受ける
・ヒロイン、ショック!
・なぜか交通事故に遭う(笑)
・そのときのトラウマが引き金となって、一週間しか記憶が保持できなくなってしまう
うーーん。なるほど。
友人からそんなことを言われればそりゃショックで記憶も1週間しかもたなくなりますよねー・・・って
ふざけんな(笑)
これくらいのいざこざで記憶を消し飛ばさないでくれ・・・。頼むから・・。
とまあこんな感じで、びっくりするほど大したことない理由でヒロインは記憶を失います。一応ヒロインの家族は「娘の病気とは一生よりそっていくつもりです」的な発言を悲痛な面持ちでしてくれるわけですが、「友人関係忘れちゃうくらいだったら別にどうってことない?」と思ってしまいました。実際、ヒロインは学校生活を普通にすごせているようですし。
病気に対してのツッコミはこれくらいにして、次は登場人物たちに対してツッコんでいきたいと思います。
まずは主人公に対してツッコミたいことは一つ!
ヒロインに対しての行動動機がブレてない?
ということ。
この映画は恋愛映画なの? 男女間の友情を描いた映画なの?主人公の行動に一貫性がなくてそのへんがまったくわからん!しっかりしてくれ!
冒頭の時点では、主人公はヒロインと「友達」になりたいって思っていたはずなんですよ。
そりゃヒロインは美人設定なのでまったく恋愛感情がない、なんてことはないと思いますが、一週間で友人関係を忘れてしまうヒロインのために交換日記をはじめるとき「僕と友達になってください!」って言っていたので、僕はその言葉通り主人公はヒロインと友達になりたいんだな、と理解していました。
ところがどっこい、ヒロインの元同級生(どうみてもイケメンにみえない)とヒロインがいい感じになったとき、主人公は目に見えてショックを受けていて
「おまえ、ヒロインと友達になりたかったんじゃないのかよ」
とツッコミをいれたくなりました。というか、映画を観ながら一人でツッコミました。(笑)
さらに自暴自棄になった主人公は、ヒロインとの思い出がつまった交換日記を燃やすという暴挙にでます。
「彼女を救えるのは俺じゃないんだ・・」
と訳の分からない言い訳をしてあっさりヒロインとの関係を終了する主人公にはガッカリしました。まあそのシーンでは笑いましたけど。
(ちなみにこのご時世、携帯電話があるのに交換日記という超古典的な方法でヒロインとやりとりする主人公はさすが。ちなみにヒロインは携帯電話をもっていません。ヒロインは記憶なくなるという大変な状況なのに、どうして家族は携帯をもたせないのか?
なぜなら、主人公と交換日記をさせるためさ!笑)
主人公のキャラも定まっていないため、周りにいる登場人物たちも全員ふわふわしていて、「このキャラいる?」と言いたくなるような登場人物がゴキブリのように湧いてでてきます。
なかでも僕が一番お気に入りの「こいつ必要ないだろ」キャラは主人公の友達の「桐生」君というキャラです。
彼は映画の世界のなかではすべての女子の目からイケメンにうつっているらしく、教室では彼がなにかするだけで「きゃー!桐生君かっこいいー!」的な雰囲気になります。
じゃあ桐生君が主人公に対してなにかプラスのことをするかというと「全く役にたちません」
間違いなく役に立っていません。
というか、作中には一応登場していますが彼の存在意義がまったく不明でした。
しかも桐生君役の俳優さんの演技がこれまた最高で
「オマエ ヒトリデ ゼンブ カカエコンデ スゲーヨ」
なんていう機械みたいなしゃべり方をします。びっくりです。さすがにどうなの?っていうレベルの演技でした。
結論として僕が声を大にして言いたいこととしては
桐生君は最高
ということです。
一番よかったシーン
全体的にぺらっぺらのストーリーですけど演出的には結構よかったシーンが多かったです。
主人公は漫画研究部に所属していてヒロインのために、図書室で借りた本に勝手にパラパラ漫画を作成するシーンがあるのですが、これがなかなか味があるタッチで描かれていてよかったですね。
たぶん原作者はこの「パラパラ漫画」のシーンをやりたいがために主人公を漫画研究部にしたんだと思いますがその判断は大成功で結構感動しました。
芸人の「鉄拳」がパラパラ漫画で有名ですけどあんな感じの優しいタッチで、主人公とヒロインが共に過ごした「ふわっとした、ほとんど中身はないけどいい感じの時間」をそれこそいい感じに表現してくれています。
その中身すかすかのパラパラ漫画をみたヒロインは主人公との日々を思い出し涙するという、超ドストレートな展開は僕的にはかなり胸熱でした!
あと主人公はラストに高校を卒業するわけですが、卒業式のシーンもよかったです。僕はもともと高校教師をしていたので、卒業式のシーンが流れるだけで教師時代を思い出して感慨深い気持ちになるんですよねー。卒業式シーンはずるい。
この記事を読んでくれた人は
「こいつ、『1週間フレンズ。』をバカにしている!」
と思うかもしれませんが誤解しないでください。
普通にバカにしています。
小話 高校生は息を吐くかのごとく青春をする
映画の話は終わりで(笑)僕の話をすこしさせてください。
さきほどすこし触れましたが僕は高校の教員をしていました。
大学を卒業してすぐに県立高校の教師として働きだした僕はどこからどうみてもただのワカゾーで、先生になってからしばらくはなかなか「教師」を演じることができませんでした。
「生徒を怒る」って結構なストレスで、僕は怒るのがとにかく苦手でしたねー。
体育の先生とかは「バカなの?」っていうくらい全力で生徒を怒れるわけですが、僕はなかなか怒れなかったため、結果として生徒になめられてしまっていました。
ある女子生徒は僕のことを特にバカにしていて、僕は数学の教員だったのですが彼女は授業をなかなか真剣に聞いてくれません。
僕「○○、ちゃんと聞きなさい」
女子生徒「はいはーい わかったわかった!」
なんて感じのびっくりするほど不毛なやりとりをしていました。
そんな彼女は数学が苦手で、2年生のあるとき赤点をとってしまったため、僕と一対一で教科指導をすることになりました。
僕は彼女のことが正直苦手だったので「いやだな」と思っていましたが、彼女は普段の授業と違って驚くほど素直に僕の話を聞いてくれました。
補修が終わって、彼女を学校の正門まで送ったとき
「先生、いつもバカにしてごめんね。わたし、先生のこと好きだから」
と言われました。
映画だったら間違いなくいい感じのBGMがかかっていたと思います。マフラーを首に巻いて、僕に手を振りながら駅の方へ向っていく彼女をみて
「高校生、やべぇな」
と思いました。やつらは息をはくかのごとく、青春ワードをすさんだ大人の僕たちに投げつけてきます。
そんな彼女も高校を卒業する日が来ました。
僕は彼女から手紙をもらいました。結論から言うとちょっとしたラブレターでした。
卒業生の手紙は今でもずっと大事にもっていて、もちろん彼女の手紙も手元にあります。
その手紙に青春度はやばかったですねー。
こんな感じの内容でした。
**
先生、いつもひどい態度をとってしまってすいませんでした。
わたしが赤点をとってしまったとき、先生は数学が苦手なわたしに対してすごく丁寧に教えてくれましたね?
その日のこと、先生は覚えていますか?
わたしは覚えています。
きっと、これからもずっと覚えていると思います。
ダメだと分かっていますが、どうしても言いたいので言わせてください
先生、好きです。
**
「高校生、やべぇな」
ブログ作成時間:30分
観るなら金曜日に観るべき!? かなりの鬱映画 「JOKER」
365日映画カレンダー 10月7日 「JOKER」
おすすめ度
4:観るなら金、土曜日の方がいい。暗い雰囲気の映画なので・・
【おすすめ度は1が低評価。5が高評価。あくまでも独断と偏見による評価です】
【今作を観るにあたって最低限知っておいたほうがいいこと】
上記の記事に感想を書いていますけど、映画「ダークナイト」は観ておいた方がいいと思います。ジョーカーがどんなキャラクターかというのが分かるし、バットマンの世界観が分かると思うので。
あと今作ではバットマンは全く出てきませんし、アクションシーンがたくさんあるわけではありません。
あくまでもバットマンの宿敵ある「ジョーカー」というキャラがどのようにして誕生したかが描かれているので、その辺りを知らずに映画を観ると「思っていた映画と違った~」なんてことになってしまうかも。
感想
とにかく鬱になる世界観
映画を観てまず思ったのは
「作中の世界観がとにかく暗い」
ということです。
暗い!もう暗すぎる!(笑)
退廃的な空気が作品全体を包んでいます。
バットマンの舞台はゴッサムという街なのですが、財政難に陥っているという設定で、そのため
・街はゴミだらけ
・衛生状況がかなり悪いらしくそこらじゅうで悪臭がする。ネズミも大量発生している。
・富裕層と貧困層の格差がかなり激しく多くの市民は不満を抱えている。それゆえに犯罪発生率もかなり高い
とまあこんな感じでゴッサムは「THE・住みたくない街」なわけです。
黒いゴミ袋が路地に大量に山積みにされているし、電車のなかは電球が切れかかっていて薄暗いし、パトカーのサイレンはやたらと鳴ってなんか物騒な雰囲気だし、こんなときで暮らすのは絶対にいやだなと思いました。
さらに作中に流れる音楽もどんよりとしたものばかりで徹底的に「暗いムード」に徹していたのが印象的でしたね。
ずーん・・・ずーん・・・ずーん・・・
こんな感じの重低音が頻繁にかかり、映画館だと空気の振動が体に伝わってきてちょっと気分がわるくなってしまった(笑)
さて、そんなドロドロして薄暗い世界観に加えて、今作の主人公であるアーサー(最終的には自分のことをジョーカーと名乗るようになる)はもう同乗したくなるくらい不幸な境遇に晒されています。
いくつか例をあげると
①:脳の障害のため、突然笑いが止まらなくなる。診療内科にも通っており大量の薬を服用している
②:高齢の母親を一人で介護しており、さらに母親は精神疾患がある
③:大道芸人の派遣会社で働いており、アーサーはコメディアンになることを夢みているため大道芸人の仕事は自分にとって天職だと感じているが、不慮の事故により突然解雇されてしまう
書き出せばキリがないですけど「これでもかっ」っていうくらいの不幸がアーサーを次々と襲います。
僕的には①の「突発的に笑いが止まらない発作がおこる」という設定はなかなか良かったと思います。(すごく残酷な、という意味で)
物語後半でアーサーは自分の出生の秘密を知るわけですが、唯一信じていた母親からも裏切られ、悲しみと怒りにふるえるなか「笑い」の発作が止まらなくなってしまいます。
嗚咽をもらし、泣きながら笑うアーサーの姿は観ていて本当に哀れでしたね・・・。
「これだけ不幸だったらそりゃ悪い奴になっちゃうよな・・・」
なんて思いました。
不器用ながらも前向きに生きようとするアーサーですが、理不尽な出来事が彼を打ちのめし、やがてアーサーは世界に絶望し、ついには「ジョーカー」へと堕ちてしまいます。
終始暗いムードで映画は進行していきますが、作品の最後の方ではアーサーはぶっ壊れてしまっていて、結構楽しそうだった。(笑)
一番印象的だったシーン
作中は基本的には暗いムードで進みますがそれなりに明るいムードのシーンもあって、それはアーサーと同じアパートに住むソフィーとの交流を描いたシーンです。
たまたまアパートのエレベーターで会ったのをきっかけにして二人は顔見知りになるわけですがアーサーはさっそくソフィーをストーキングしたりします。
で、そのストーキング行為もソフィーにバレてしまうわけですがアーサーのことをそれほど責めたりせず、それどころか二人はなんとなくいい感じになります。
アーサーは自分が出演するライブにソフィーを招待するシーンがあって、緊張しながらも必死にネタを披露するアーサーを、彼女は優しい表情で見つめます。
あれ・・・ちょっと恋愛的な要素もあるのか?
「恋愛パートは結構明るい感じじゃん!よかった!」
僕はほっこりとした気持ちで観ていましたが、もちろんアーサーとソフィーが結ばれることはありません。
結局、アーサーのことを理解してくれる人は誰もいませんでした、という展開でかなり鬱になる展開でしたが、その分印象に強く残るシーンでした。個人的にバッドエンドな展開は好きなので、このへんのシーンは登場人物に対して容赦がなくて良かった。
映画「ジョーカー」はずいぶん人気があるみたいだけど・・・
上記の記事にも書いてありますが映画は初週から絶好調のスタートを切ったようですね。
でも個人的にはそれほど万人受けする映画とは思えないので、初週は話題が話題を呼んでという感じだったかもしれませんが、この先は客足がそれほど伸びないような気がします。
この映画の対象者は30代~くらいで若い人は結構苦手な人が多いんじゃないかな?
いやー・・・なんか今回は映画の感想書くのがきつかったなぁ。
映画を観たあとにいろんな感情が渦巻いて、まだそれがしっかり整理されていないから支離滅裂で言いたいことや書きたいことがうまく伝わっていないような気がする・・。
ここまで読んでくれたみなさん、ありがとうございました。そしてへたくそな文章でごめんさい。
ブログ作成時間:40分(たったこれだけの字数なのに死ぬ程時間がかかった・・)
死のピタゴラスィッチを楽しめ! 映画感想「ファイナル・デッドブリッジ」
365日映画カレンダー 10月5日 「ファイナル・デッドブリッジ」
↑予告というか、ほとんど映画の内容をすべて説明してくれています(笑)
おすすめ度
3:どのように人が死ぬか、それのみを楽しむだけの映画
【おすすめ度は1が低評価。5が高評価。あくまでも独断と偏見による評価です】
【ざっくり感想】
かなり好みが分かれる映画になることは間違いないですね・・・。 残酷描写がいける人だったら問題ないと思いますが
「むやみやたらに人が死ぬだけの映画は嫌い!」
っていう人は最後まで観ることができないと想います。
だって、人がどのように死ぬかを観るだけの映画だもん。
「死の運命」に翻弄される若者たちを描いた今作ですが実はシリーズ5作品目とのこと。
第1作 ファイナル・デスティネーション
第2作 デッドコースター
第3作 ファイナル・デッドコースター
第4作 ファイナル・デッドサーキット
実はこのシリーズを観るのがはじめて。
なんで一作目から観ないのか?というと、ストーリー的にはどこから観てもそれほど影響ないだろうと思ったから。
それにしても第2作だけタイトルが他とはちょっと違うけど何か理由があるのだろうか?
概要
主人公のサムたちは会社の研修旅行の中、工事が続く巨大な吊り橋をバスで渡ろうとしていた。
そのときサムは突如として橋が崩れ落ち同僚たちが次々と死んでいく悲惨な白昼夢を見る。夢からさめたサムは周囲にこれから起きる大惨事を伝えるが信じてもらえず、恋人モリーをつれてバスから降りる。
その結果、サムがみた夢のとおり橋が倒壊し多くの犠牲者が発生するがサムを含めた8人の社員が奇跡的に生き残る。
しかし死の運命が過ぎ去ったわけではなかった。
感想
ファイナルシリーズはこのルールだけ分かっておけばOK!
今作の最大の特徴は世界観ですよね。シリーズものとして何作かでていますが物語の流れ(ルール)は決まっていて
①冒頭で大事故がおきるが主人公がみた予知夢のおかけで数人が生き延びる
②事故で死ななかった主人公の仲間たちが次々と悲惨な死をとげてゆく
③主人公助かった! と思ったらやっぱり死亡!
上記①~③、これがすべてです。(笑)
この流れだけでよく4作品も作ろうという気になったなあという気がしないでもないですが、登場人物たちが死ぬための舞台がすこしずつ整っていく様子は見ていて結構ハラハラできて、なかでも一番はじめにキャンディスというキャラが死ぬシーンは飲んでいたコーラを吹き出してしまうほど滑稽なものでした。
一番よかった?シーン
体操選手であるキャンディスは練習会場にて恋人に
「なんだか今日は嫌な予感がする」
というめちゃくちゃ不吉なことを言います。ゲーム用語で「死亡フラグ」という言葉がありますが彼女の発言はまさにそれですね。
「じゃあこの日は練習をやめとこっか~」なんてなればいいわけですが、「死の運命」から逃れることはできないらしく、不安そうな表情をするキャンディスに向かって恋人は
「大会前だから不安になっているだけ」
「小さいころから毎日練習してきたんだ!自信もてよ」
的な発言をして、キャンディスを励まします。これからキャンディスが悲惨な死をとげるとも知らずに・・・
で、ここから先は「死亡フラグ」ならぬ「死亡スィッチ」がどんどん設定されていって、何かをきっかにしてそのスィッチが「ON」になればそれによって登場人物たちが死ぬという流れです。
今回の「死亡スィッチ」は平均台の上に落ちた釘です。
平均台の上に釘があるなんて状況そうそうめったにできるわけないと思いますが死の運命の力によって「ぜったいありえんやろ!」という状況が静かに整っていきます。
平均台の上に釘があることに気付かず淡々と練習をするキャンディスをみて
「踏め!そこに釘があるから踏め!」
と無意識のうちに念じていました。
人によっては「釘を踏んじゃう!危ない!」なんてハラハラしながら映画を観るのでしょうけど、僕の場合は完全に逆で死亡スィッチがはやくONになるところがみたいわけです。
危機一髪、釘を踏まずに演技を終えるキャンディス。舌打ちする僕。
しかし平均台での練習を終えたキャンディスの足元に水が。
もちろんただの水ではありません。奇跡的な事象が重なって漏電したコンセントにふれた水なので、さわっただけで感電死です。
なんて思っているとキャンディスは水の上にタオルを落としなんやかんやで死にません。
今作はこんな感じで
死ぬと思わせて→死なない
死ぬと思わせて→普通に死ぬ
という2パターン(結局最後は死ぬけど)があるのはなかなか憎い演出ですね。
じゃあキャンディスはどうやって死んだかというと
○ある選手が平均台の練習中に釘を踏む
→平均台から堕ちた選手がすべり止めの粉をぶちまけてしまう
→たまたま会場は空調の調子がわるく扇風機をつけており、それによってすべり止めの粉が舞ってしまう
→キャンディスは鉄棒で練習しており、粉が目に入ってしまう
→大車輪中のキャンディスはそのまま手をはなしてしまい、着地に失敗して無事死亡!
事故か事件かを判断するために警察がきて現場検証をするわけですが
「こんな事故、絶対に起こりえるわけがない・・・・」
と言います。そりゃそうだろう。
僕の話になってしまいますが、小学生のころ僕の地域では「うんちスィッチ」というゲームが流行って?いました。
集団登校をしていたため朝、公園にあつまってから僕たちは小学校へ向かってとことこと歩きだすわけですが、その公園には大量の乾燥したうんちが落ちていました(近所のおばさんが猫にエサをあげていたため野良猫が大量発生していた)
で、「うんちスィッチ」というゲームは
いい感じにうんちを配置して、たくさんうんちをふませる
という最低なゲームです。
そこで僕は歩幅を計算してうんちを五個くらい右足、左足の順に踏むように配置していったわけですが、なかなかうまいこと踏んでもらえませんでした。来る日も来る日もうんちの位置をかえたり、草でうんちを隠したり試行錯誤した挙げ句、ついに僕の「うんちスィッチ」が発動する日が来ました。
「おい、忘れ物だぞ」
父が公園まで忘れ物を届けてくれた日のことです。
「あ。。。」
すでに時遅し、でした。
父は「うんちを踏む運命」にとりつかれていたのです。
リズムよく右→左→右→左→右の五連コンボがきまったのは奇跡的で、僕は友人たちから「うんち神」として崇められました。
「○○(僕のこと)君のお父さんが五連うんちコンボにはまったらしい!」
という噂が学校中に広まったとき、僕は誇らしいような悲しいような複雑な気持ちになりました。
小話
今作しか観ていないわけですが、どうやら第1作目と世界観がつながっているようですね。
映画のラストシーンでそのことがわかる部分があったので、第一作目も観てみようかな。相当暇だったら(笑)
ブログ作成時間:30分
頭の中だけに存在する携帯電話があったら、あなたは誰と話しますか? 映画感想「きみにしかきこえない」
365日映画カレンダー 10月2日 「きみにしか聞こえない」
↑この予告動画みてもらえば分かると思いますが、主人公の演技は正直あまりうまくないと思う・・・
おすすめ度
4:世界観とストーリーはすごくいいです!
【おすすめ度は1が低評価。5が高評価。あくまでも独断と偏見による評価です】
【ざっくり感想】
頭の中に「携帯電話」があったら?
直接声にしなくても頭の中で考えるだけで相手と通話ができるからテストでもカンニングし放題だし、両手があいた状態で電話できるのも便利そう(笑)
主人公ふたりはある日とつぜん頭の中に存在する携帯電話を手に入れるわけですが、その携帯電話にはある「ルール」があって、物語が進むにつれてすこしずつその謎が明かされてゆくので飽きずに観ることができました。
作中で流れる、ドリカムの「君にしか聞こえない」もいい曲で、歌詞もすごくいい。
ひとつ難点をあげるとすれば、主人公ふたりの演技がいまいちだった・・・という点が気になりましたが全体的な評価としてはすごく良かったですね。
概要
人とコミュニケーションをとることが苦手な女子高生のリョウは、クラスメイトが携帯電話の話題で盛り上がっているのを遠くから眺めることしかできなかった。
そんなある日、リョウはおもちゃの携帯電話をひろう。
その日以降、リョウの頭の中で携帯電話の着信音が鳴り響くようになり驚くリョウであったが、頭の中の携帯電話はシンヤという男性とつながっていたのだった。
感想
キャラクターの設定もいいし伏線の回収もうまい
原作は「乙一」という作家の「きみにしか聞こえない CALLING YOU」で、小説の初版発行が2001年ということだから、ちょうど携帯電話の所有率が爆発的に増えてきた時期だと思います。
この時期くらいから「携帯電話」を題材にした作品って多かったですよね。ホラーだと「着信アリ」とか。
映画ってその時代のトレンドだったり社会情勢が反映されていることが多いから、映画を通じてその当時の日本の様子がすこし見えてきて面白いです。
さて、今作は頭の中にだけある実体のない携帯電話にまつわる物語になるわけですが、主人公ふたりの設定がすごく良かったですね!(ちなみに僕は原作も読んでいますが、原作よりも映画の設定の方が良かった)
まず一人目の主人公である「相原リョウ」(成海璃子)は幼いころにおきたある出来事が原因で自分に自信がもてず、家族やクラスメイトたちともうまくコミュニケーションがとることができません。自分に対するコンプレックスが強く、例えば国語の授業中では大きな声で音読することができなかったりします。
一方、もう一人の主人公である「野崎シンヤ」(小出恵介)はリサイクルショップで働いているのですが、彼は幼いころより耳が聞こえず、またそれにより声も出せません。しかし頭の中の携帯電話では自分が考えたことが声となってリョウに伝わるし、また声もしっかりと聞きとることができるためシンヤにとってリョウとの電話はかけがえのない存在になっていきます。
シンヤは耳が聞こえないこと、しゃべれないことはリョウに黙っておきます。
実はこれがちょっとした伏線になっていて、それがすごくいい!
頭の中の携帯電話では考えただけでそれが声となって相手に伝わるので、まさかシンヤがしゃべれないなんてなかなか思いつかないですよね。
本作ではちょっとした設定が伏線になっている部分が他にもいろいろあって、物語が進むにつれて「そういうことだったのかー!」と驚かされます。
一番よかったシーン
映画の話から少しそれますが、みなさんは「進研ゼミ」の広告漫画を読んだことがありますか?
小学生くらいだったかな?
気がつくとポストの中に入っていて、結構おもしろかったのを覚えています。
ストーリーの展開はいつも大体同じで
・さえない主人公(勉強× 恋愛× 部活×)が・・・・
→主人公が進研ゼミを始めると・・・
→勉強、恋愛、部活、すべてが嘘のようにうまくいって・・・
→「進研ゼミにはいってよかったー!」で終わり(笑)
勉強がうまくいくのは分かるけど、どうして恋愛&部活動までうまくいくんだよ・・という疑問は小学生の当時でも抱いていましたが、よく分からんけどいけいけハッピーな展開は僕的には結構好きです。
リョウとシンヤは頭の中の携帯電話をつかってコミュニケーションをとるようになるわけですが進研ゼミよろしく、二人の人生が一時的にいけいけハッピーになるのは映画をみていてほっこりしました。
本当にちょっとしたきっかけで人生は前向きに動き出すのかもしれませんね・・・進研ゼミの漫画はそういうことを言いたかったのかもしれません(笑)
小話
上の記事で紹介した「くちびるに歌を」原作者は「中田永一」という作家さんで、実は今回僕がみた「きみにしか聞こえない」の原作者「乙一」と同一人物なんですよね。
要するに別名義で小説を書いているということです。
僕は学生時代から「乙一」さんのファンで、デビュー当初は残酷な物語を書いているイメージでしたが、かと思えば今作みたいにあたたかくて優しい物語も書けて、作品ごとに作風が全然ちがうのでファンの間では残酷な物語のときは「黒 乙一作品」、そうではないときは「白 乙一作品」なんて呼ばれています。
今作(小説版)なんかはまさに「白 乙一作品」なわけですが完全なハッピーエンドではなくて、「なにかを犠牲にするけど登場人物が精神的に成長する」という展開にもっていくのが乙一のにくいところです。
「残酷さ」と「感動」のバランスが絶妙で、「悲しいけど心温まる」という不思議な感覚につつまれるんですよねー。
原作を読んだことがないという人はこれを機会に原作を読んでみてはいかかでしょうか?
原作と映画では設定が違っていて、映画を観たあとに小説を読んでも十分に楽しめると思います。
というか、面白いから是非よんで!(笑)
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