隠れた良作! ピエロよりも怖いのは実は主人公の妻!? 「クラウン」
365日映画カレンダー 9月6日 「クラウン」
僕は小さいころからピエロに対して恐怖心を抱いていて、特にマクドナルドの
↑ にはかなりの恐怖心をもっていました。
ネットの情報によると「道化恐怖症」なるものが存在するようです。
もしかしたら人間はかなり深い部分でピエロに対して恐怖心をもっているのかもしれませんね。
ちなみにピエロとクラウンは別物で、見た目の特徴として目の下に涙マークがある方がピエロらしいです。そういう意味では映画「クラウン」に登場する道化師は見た目的にはピエロになるのか・・・?
どんな人におすすめしたい映画か
・ホラー映画でも残酷なシーンが好きな人
・展開が早い映画が好きな人
・人間の心の闇を描いた映画が好きな人
概要
不動産関係の仕事をするケントはある物件の視察中にピエロの衣装をみつける。
ケントはそのピエロの衣装を着て息子の誕生日を盛り上げるが、その日ケントはピエロの衣装を着たまま眠ってしまった。
翌日になって会社へ行くためにピエロの衣装と化粧を落とそうとするケントだったが、衣装がぴったりと体にくっついてしまい脱ぐことができなくなってしまう。日がたつにつれ、ピエロの衣装を着たケントの体に次々と異変が起きるのだった。
感想(ネタバレなし)
思った以上に良作!残酷な描写は多めです。
映画を見始める時点では正直それほど期待をしていませんでした。
ところでどうしてこの「クラウン」を観ようと思ったかというと、最近はアカデミー賞で受賞した作品を優先的に鑑賞していたため、たまには箸休め的にB級映画でも観ようかなと思ったのが発端です。
映画がはじまってみるとなかなか丁寧に作り込まれていて、主人公ケントがピエロの衣装を脱げなくなってしまい、だんだんと人間からピエロ(悪魔)へと変質してゆく姿は素直に怖かったです。
またホラー映画といえばお決まりのパターンとして
「登場人物たちが基本的にバカ」
なわけですが、今作でピエロになってしまうケントも例にもれることなく普通にバカです。
脱げないピエロの衣装をナイフで切ろうとして謝って自分の手首を切ってしまったり、もっと違う部分から切ればいいのに電動のこぎりを首元に近づけて衣装を切断しようとしたり・・と
「ピエロになる前に死ぬんじゃないのか?」
という、まったく新しい恐怖を僕たちにもたらせてくれます。
さて、結局「超頑丈なピエロの衣装」を脱ぐことができずケントは悪魔(作中ではクラウンの起源は悪魔である、という説明がある)になってしまいます。
悪魔は子どもが好物で、作中でケントは子どものみを襲うのですが、そのシーンが思った以上に残酷でした。
例えばジェイソンは子どもを襲わないように、倫理的な面(笑)からも子どもを残酷な方法で殺すホラー映画ってそれほどないわけですが今作では普通に子どもたちは食べられてしまいます。
悪魔になったケントは常に空腹で、近づいてきた子どもを頭から、しかも生きたまま食べてしまいます。
映画「 it 」の冒頭シーンで主人公の弟がペニーワイズに腕を食べられてしまうシーンはトラウマものですが、今作のクラウンも残酷描写では負けておらず、ケントの息子であるジャックをいじめていたクラスメイトは「上半身のみを食べられる」というかなりショッキングな最後を迎えます。
僕は基本的に残酷な描写は大好きなので、今作はグロテスクなシーンの完成度がかなり高めで非常によかったです。
感想(ネタバレあり)
ある意味いちばん怖いシーンについて
怪しい書物によると、悪魔を取り払う方法は
「子どもを5人、生け贄にささげればいい」
ということをケントの妻であるメグは知ります。
愛する夫を元の姿にもどすことを最後の最後の最後まで諦めないメグ。
はっきりいってケントを殺すチャンス自体は何回かあったわけですが、夫を元にもどしたい!というある意味当然の発想のせいでケントは本物の悪魔になってしまい結果的に何の罪もない子どもたちが襲われることになります。
しかもやっかいなことにケントは自分の息子であるジャックに目をつけ、彼を食べようとします。
自分の息子を守るため、先述したように悪魔を祓うための方法を知ったメグは次のようなことを考えます。
「どっかの知らない子どもを生け贄にささげればいいんじゃねぇ?」
はっきり言って今作で一番怖いのはケントの妻であるメグです。
メグはゲームセンターで迷子になった子どもを「家におくってあげる」と嘘をつき、生け贄として捧げようとしますが失敗します。
結局「5人の生け贄」を捧げることができないまま、悪魔になったケントは自分の息子ジャックを襲います。
それを阻止しようとハンマーを持って悪魔に対抗するメグ。しかし悪魔になったケントはメグの肩にかみついたり、人間離れした力で彼女を投げ飛ばしたりとメグを半殺しにします。
悪魔はメグをつかまえ、お腹にツメを立て体を引き裂こうとします。
なぜ悪魔はそんなことをしようとしたかというと、実は映画の冒頭で分かることなのですが
メグは子どもを身ごもっていて
悪魔は子どもを食べるために、お腹の中にいる赤ちゃんを取りだそうとします。
絶対絶命のメグと赤ちゃん。
そのときメグがとった行動こそ、僕は今作で一番のホラーシーンだったと思います。
メグはどうしたか?
なんと
「ジャック! 逃げて!」
とわざわざ大声で叫び、悪魔の関心を、逃げようとしていた息子ジャックへ向けます。
つまりお腹の中にいる赤ちゃんを守るために「息子ジャック」を差し出したわけですよ。
自分の子どもを守るために他の子どもを生け贄に捧げようとしたり、赤ちゃんを守るために自分の息子を差し出したり・・・・彼女の恐ろしいほど残酷な優先順位に僕は恐怖しました。
まとめ
実はこの映画、製作が決定するまでの経緯にちょっとした小話があります。
映像系の大学に通う学生がYOUTUBEにピエロをテーマにしたホラームービーをノリでアップし、さらに監督として映画「ホステル」の監督をつとめたイーライ・ロスの名前をクレジットにのせたところ、それが監督本人の目にとまって映画制作が決定したそうです。
ピエロの服を着ただけで悪魔になったりと、世の中なにが起こるか分からないですね。(笑)
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