エンジニアが映画評論家になるブログ

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エンジニアをしている普通のサラリーマンが、映画評論家になってどや顔で映画評論するまでの軌跡を綴るブログです

コミュ障宇宙人と意思疎通するには!? 「メッセージ」

 

365日映画カレンダー 9月5日 「メッセージ」 

 

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宇宙船のデザインはシンプルでいい感じ

はじめに

①リモコンてんこ盛り

②素でキス出きんほど本気で好きです

③泣いたけど、遠いあの子にこの愛を届けたいな

 

いきなり何いってんの?頭おかしいの?

 

と思った人もいるかもしれません。すいません、たぶん正常なので安心してください。

ところで①~③までの文章は実は回文といって、要するに

 

前から読んでも後ろから読んでも同じ読み方

 

の文章です。基本的に文章には読む順序があって、文の「はじめ」から「終わり」までその順序通りに読まないと意味がわからないわけですが、回文に関してはどちらから読んでも同じように読めてしまうので面白いですよね。

 

さて今回僕が観た映画は「メッセージ」という映画で、少しネタバレ的なことを言ってしまいますが、この映画には秘密があって

始まりと終わりが逆の映画」なのです。

 

どんな人におすすめな映画なのか

・ミステリ小説のような大どんでん返しを期待する人

・もの寂しい雰囲気の映画が好きな人

*「宇宙人」が人類をぶっつぶすためにやってきた映画、という期待をもって映画を観ると間違いなくガッカリします

 

概要

 ある日突然、世界の12箇所に宇宙船があらわれる。

言語学者のルイーズ、物理学者のイアン、アメリカ軍大佐のウェーバは宇宙船の調査を始める。

調査の目的は「宇宙船はなぜ地球にやってきたのか」ということ、そして「地球に対して攻撃の意志があるのか」という2点。

言語学者であるルイーズは「言葉」によって宇宙人たちとコンタクトを取ることを試みる。すこしずつ宇宙人たちとコンタクトがとれるようになったことを喜ぶルイーズだったが、その一方で各国では宇宙船への攻撃作戦が進んでいるのだった。

 

感想(ネタバレなし)

敵なのか、味方なのか!?どっちなんだい!はっきりして!

宇宙人たちが敵なのか味方なのかまったく分からないので世界中は大パニック。

治安も荒れ放題、カルト教団員たちが集団自殺をしたりします。世界が混乱の渦に飲み込まれていく様子は丁寧にゆっくりと描かれていて、特にお偉いさんたちは

「宇宙人たちは何を考えている?」

「あいつらはいつ攻撃してくるんだ?」

ビビリまくります。

 

作中の世界では中国が武力派として描かれていて

 

攻撃される前にこっちからぶち落としてやろうぜ!」というテンションです。

 

それに賛同した別の国でも攻撃の構えをとります。そんな姿を本作の舞台であるアメリカのお偉いさんたちは否定的に見ているわけですが

現実世界だったら、間違いなくアメリカがまっさきに攻撃するだろうな

と思ったのは僕だけではないはず。

 

宇宙人たちも宇宙人で、地球に来たのなら「どうやってコミュニケーションを取るべきか、考えてからこいよ」とつっこみを入れたくなります。

宇宙船に人間を招き入れるわけですが、コミュニケーションが取れないのでお互いに困ってしまいます。無計画すぎ。

 

そんな中、言語学者であるルイーズはホワイトボードに文字を書いて宇宙人に書いてみせます

「HUMAN」と。

いやいや、そんなもの書いたところで彼らだってリアクションに困るでしょ・・・・

 

 

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インクがにじんだような円形のデザイン。おしゃれ

と、思ったら意外にコミュニケーションとれそうだということが判明(笑)

 

宇宙人の文字はインクがにじんだような円形をしており、主人公たちの前に砂のようなものを噴砂して瞬時に文字を形成させることができます。

 

が、それが何を意味しているのかを完全には理解できません。時間だけがすぎてゆき、ついに宇宙船への攻撃が決定してしまいます。

この時点では宇宙人たちが

敵ではないっぽい

ことは観ている僕たちも理解できるわけですが、 はっきりしない態度の優柔不断な宇宙人たちに対して若干のいらだちを覚えはじめます。

 

**ちなみに制作者たちがつくった宇宙人文字の解析コードが公開されているらしい。

(僕はプログラマですが、「なるほど、分からん」ってなります)

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感想(ネタバレあり)

結末がずるい。騙された!

 

ブログの冒頭でも書きましたがこの映画は

始まりと終わりが逆の映画」です。

 

ところで、小説には読者を「騙すテクニック」があって

 

・1人称で描かれ(僕とか私、目線ですすむ物語)、たとえば「この物語の主人公はAさんなんだな」と読者に思わせておいて、実は途中からBさん目線で物語だった・・・なんていうのがよくあるパターンです。

 

これは小説ならではのテクニックであり、映画ではこのような騙しテクニックは使えません。

ではこの映画はどうやって観ている人たちを騙してくるかというと

時制

を使って見事に欺きます。

 

例えば今、目の前で「僕は昨日はテニスをした」

と言われれば「ああ、過去の話なんだ」って普通なら思うじゃないですか。

映画冒頭は主人公ルイーズの回想から始まります。

「~~だった」という言い方からも観ている人たちは、これは過去の話であり、主人公ルイーズがかかえているトラウマについての話なんだろうな・・と思います。

思うはずです。

 

しかし、実は過去の話ではなかった。

 

というのが本作の最大のポイントになります。

「はじまりも終わりもない」、「回文」というキーワードと、なぜ「宇宙人たちが使う文字が円形」なのか、なんていうことを考えながらこの映画は観てほしいです。

 

ラストシーンで主人公ルイーズはある「決断」をします。

それはあまりも悲しく、つらい決断です。

それでもルイーズはその決断をなるべく前向きにとらえようとしていたところが個人的にはとても良かったです。

ハッピーエンドかと言われると微妙ですが、少なくとも主人公の人生についての考え方が大きく変わり、精神的な成長があった点は救いようのある終わりかただったと思います。

面白い作品なのでまだ観ていない人は、是非!

感想

全体的に悲しい雰囲気の映画でした。霧のようなもやがかかったシーンが多く、意思がまったく読み取れない宇宙人、先行きの見えない未来を暗示しているようで、幻想的かつ印象的でよかったです。

 

あと宇宙人がタコみたいな外観だったので、最初みたときは笑ってしまった。

 

ブログ作成時間:30分