エンジニアが映画評論家になるブログ

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エンジニアをしている普通のサラリーマンが、映画評論家になってどや顔で映画評論するまでの軌跡を綴るブログです

みんなの評価がすごく高いから言いにくいけど・・・・ 映画「この世界の片隅に」

365日映画カレンダー 9月12日 「この世界に片隅に」

 

能年玲奈といえばNHK朝の連続テレビ小説あまちゃん」で大ブレイクした女優ですが、大人の事情もあって、最近はめっきり姿を見ませんね。

 

しかし前の事務所の圧力にも屈せず、能年玲奈は芸名を「のん」にかえて多方面で活躍しているようです(能年玲奈が本名らしいけど、前の事務所とのいざこざで本名で活動できないらしい。おそろしい)

 

さて、今回僕が観た映画は「この世界の片隅に」です。

このブログを書く前にある程度いろんなサイトで映画の評価に目を通すわけですが、今作に関していえば他人様の評価は「めちゃくちゃたかい」です。ちょっと気持ち悪いくらいみんなが

感動した!

泣ける!」 

と書いているものだから、そうなると僕はなんとなく反対に辛口な評価をしたくなるのです。(笑)

 

とまあそんなわけで結論から言ってしまうと、今作に対する僕の評価はそれほど高くないです

 

youtu.be

 

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「映画を観るセンスないでしょ!」とか怒られてしまいそうだが、正直それほど面白くなかった

 

概要

昭和19年(1944年)に広島市江波 から呉に18歳で嫁いだ主人公すずが、戦時下のさまざまな困難に耐えながら生きてゆく。

 

*概要はいつも時間をかけてじっくり書くのだけど、今回はかなり適当(笑)

まあ戦争をテーマにした話って分かれば十分だと思う。

感想

制作過程は面白い!

実は今作は企画段階で

 

ヒットの要因が見当たらない

 

と業界のプロたちに酷評されて資金調達にかなり苦戦したそうです。

そこで制作陣は「クラウドファンディング」を利用して出資を募ることに決めました。

まずクラウドファンディングっていう言葉を知っていますか?

クラウドファンディングにもいろいろな種類があるので一概には言えないのですが、簡単に言ってしまえば

 

出資してくれた人には、それに応じて何らかのお礼(リターン)をするよ

 

っていうシステムです。

 

なにそれ怪しい!詐欺だ!と、はじめて聞いた人は言いたくなるかもしれません。

実はこのお金の流れ自体はすでに僕たちの身近にあって、例えばアーティストのライブチケットを5000円くらいで買うと思いますが、チケットを買った時点では購入した人はなんの恩恵を受けていません。

しかしチケットを買った人たちはもちろん「詐欺だ!」なんて怒りませんよね。

5000円という出資に対して「好きなアーティストの歌やダンス」といったお礼(リターン)を受ける権利を買ったからです。

つまりクラウドファンディングは怪しいことでもなんでもなくて、お金を先に払って後からそれに応じてお礼(リターン)を受け取る、ただそれだけのシンプルなシステムです。

 

で、今作の制作陣がたちあげたクラウドファンディングのプロジェクトがどうなったかというと・・・

 

8日後に2000万円集まりました

 

すごくないですか?2000万ですよ?

もちろん2000万が集まったのは偶然でもなんでもなくて制作陣の広告戦略にすばらしい工夫があったからです。

では制作陣はどのような工夫をとったか。

それは

 

お礼(リターン)を魅力的なものにする

 

という工夫です。具体的に今回のクラウドファンディングに出資するとどのようなリターンがあるのかみてみましょう。

 

1 制作の進捗を伝えるメールが届く

2 原作者書き下ろしイラストつきの「すずからの手紙」が届く

3 監督を囲むミーティングに参加できる

4 本編のエンドロールに名前をクレジットする

 

どのリターンを受けるかは出資額によって変わり

 

2000円 →1、2

5000円 →1,2,3

10000円→1,2,3,4

 

となっています。

ちなみにこのクラウドファンディング、最終的には3374人が出資し、合計3900万円集まったそうですが、一番多かった出資額が10000円コースらしいです

4のリターンにみんな興味をもったわけですね。

 

お、映画に自分の名前がのるなんていい記念になるな

 

という具合に。

 

しかも出資した人たちは当然「映画を応援」したくなります。

自分の名前が映画のエンディングに出るとなれば、いろんな人に自慢したくなるもので、そこから出資者の人たちがSNSで映画の宣伝をし、そこから爆発的に映画の認知度が上がっていき結果として本作は記録的な大ヒット映画となったのです。

 

じゃあどんな映画もこのクラウドファンディングを活用すれば成功すればいいかと言うとそうではないと思いますが、映画制作の資金調達として新しい可能性を示した今作はモデルケースとして今後語り継がれていくことだと思います。

 

ところで、映画に関して新しい動きがあるようです。要チェック!

ikutsumono-katasumini.jp

 

映画の完成度は正直言って、微妙

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作画のタッチが苦手な人は一定数いるはず。少なくとも僕は苦手!

前半部分でさんざん褒めたのでここから先はすこし辛辣なことを書いていきたいと思います。

今作に対する世間の評価はあまりにも高いわけですが、正直言って僕は微妙でした。

というか、退屈でした。

*あくまでも僕個人の感想です。クラウドファンディングに参加した人にめっちゃ怒られそう(笑)

以下、ほぼ不満を書いていきます。

 

不満1 声優としての能年玲奈について

能年玲奈」でも「のん」でも正直僕はどっちでもいいわけですが、声優としては微妙でしたねー。宣伝材料にはなるのだろうけど。

作中では基本的に主人公すずがほとんどしゃべります。

つまり能年玲奈がしゃべるパートが非常に多いわけですが、その声が素人みたいで聞いていてあまりいい気分になりません。

「素朴でおっとりした感じ」は主人公すずの雰囲気にマッチしているとおもいますが、別にわざわざ能年玲奈じゃなくてもよかったかなと。

 

不満2 背景がほとんど制止していて、これってアニメーションって言えるの?

作画のタッチはどこか絵本のような素朴であり、素朴で飾り気のない世界観です。まあそれ自体はいいと思うのですが、ひとつ気になったのが

 

背景がほとんど動かない

 

ことなんですよねー。ただでさえ結構もっさりとしたストーリーで、加えて背景にも躍動感がほとんどないのでアニメーションというよりただ「絵」を観ているような気分になりました。

この作画には制作者の意図があるのはなんとなく分かってはいます。

主人公すずは絵を書くのが好きで、彼女の描く絵と作中の背景がまざるシーンがいくつかあります。きっと「作中の世界観」=「すずの絵」としたかったのではないかと思いますけど、僕的にこの手法をとったのは失敗だと思います。

 

せっかく戦時中の日本を描いているのだから、今の日本にないような「力強い躍動感」や「自然」を描いてほしかったです。たぶんそういうのを描こうとするとジブリと比較されて酷評されたのだろーけど。

 

まとめ

資金調達の工夫は独創的で面白いと思った。しかし、作品の完成度自体は世間が抱いているほど高くないと思う。

戦争を題材にした映画の割には映画のメッセージ色が弱く地味。

もちろん悪い映画とは思わないけどそれほど心にささる映画ではなかった。

 

ブログ作成時間:30分