エンジニアが映画評論家になるブログ

エンジニアが映画評論家になるブログ

エンジニアをしている普通のサラリーマンが、映画評論家になってどや顔で映画評論するまでの軌跡を綴るブログです

絶対おすすめジェットコースター映画。泣いた後に、きっと笑える 「台風家族」

365日映画カレンダー 9月9日 「台風家族」

 

youtu.be

 

タイトルから「万引き家族」のパクりかな?と思っていました。

あと僕の地域では公開されている劇場が少ないため期待値はそれほど高くなかったですけど、感想としては「非常に面白かった!」です。

 

f:id:mitoramu:20190908213751p:plain

想像以上に良作だった!感動と笑いの配分が絶妙です!

 

どんな人におすすめしたい映画か

・最近、自分の家族と疎遠になってしまった人

・家族との関係があまりうまくいっていない人

・笑った後に泣きたい人

 

概要

台風が近づくある夏の日、鈴木小鉄は妻と娘を連れて久しぶりに実家へと車を走らせていた。その目的は10年前に銀行強盗をしたまま行方不明になったしまった父親の葬儀に参列するためだった。

しかし葬式といっても父の行方は分かっておらず遺体すらないような状態であった。それでも形式的な葬儀をする理由は小鉄をのぞく、他の3人の兄弟と財産分与を行うためだった。

久しぶりにあった兄弟たちは父親の遺産をめぐって言い争いを始める。

 

感想 :急降下から急上昇。ジェットコースター映画!

ジェットコースターはまず急降下する

今このブログは2019年9月9日に書いていますが、実際に台風が関東や東北地方に直撃しています。

 

台風自体は災害なので誤解を招くことのないように気をつけますが

 

台風ってジェットコースター

 

に似ていませんか?

ジェットコースターって一気に急降下して、気がついたらいつの間にか終わっているじゃないですか。

そういう意味において、「台風家族」って僕が思うに一言で表してしまうとそういう映画だと思います。

まあ台風家族っていうタイトル自体、僕がジェットコースターと表現した意味を含んでいるわけですが、さらに僕なりの解釈を加えると 台風 = ジェットコースター になるわけです。

 

さて、映画が始まってからすぐにこの作品は「急降下します

なにをもって僕が「急降下」と表現しているかと言うと

 

とにかく鈴木家の面々がとにかくダメすぎるからです。なかでもダメダメなのは今作の主人公である鈴木小鉄(草彅剛)です。

 

鈴木家の人たちのだめっぷりを列挙していくと・・・

f:id:mitoramu:20190909223456p:plain

あれ?? 次男役の人だけが いないけど・・・?なぜかは後で説明します

 

父:鈴木一徹 ・・・葬儀屋を営んでいた。銀行強盗をし、2000万円を奪って霊柩車で逃走。そのまま失踪する。その間家族には一切連絡しない

 

長男:小鉄(草彅剛) ・・・お金への執着心は父親ゆずり。娘の前でも平気な顔で自動販売機の小銭をあさる男。かつては俳優をめざしていたが、現在は無職。ちなみに他の兄弟の名前は普通の名前なのに自分の名前だけは明らかに父によせてつけられていることを嫌がっている。

 

長女:麗奈(MEGUMI)・・・男を見る目がない。バツイチ。一徹の葬儀の後に今つきあっている彼氏とセックスをおっぱじめる。

 

次男:公式HPからも説明文は削除。その理由はニュースを見てる人なら分かるはず。

 

三男:千尋中村倫也)・・・末っ子で甘やかされて育てられた。ニートであり、何者でもない今の自分に対して漠然としたフアンを抱いており、将来はYou Tuber になりたいなどと言う。

 

とまあこんな感じでひどい家族なわけです。とにかく作品冒頭から中盤までは父の遺産相続をめぐって醜い争いが繰り広げられます。

 

展開のテンポがものすごく良くて、ある新事実が発覚するとまた次の事実が発覚・・という具合に息つく間もなく物語が進行していくのでそのへんは飽きずに観ることが出来ると思います。

 

 

普通の家族じゃない。でも僕たちは、作中の登場人物の誰かにきっと似ている

父親が2000万円を強盗するなんてことはほとんどの人は経験しないでしょう。

でもこの作品の中で生きている登場人物たちは映画の中だけの存在なのでしょうか?

僕はそうではないと思います。

鈴木家の人たちは、僕たち自身です。

 

一人一人の性格などを観察していけば、そのうちの誰か一人が僕たちの家族の誰かと重なるのではないでしょうか。

さきほども登場人物について簡単に説明しましたが、もうすこし詳しく彼らの性格等についてみていくと

 

たとえば長男、小鉄はかつては「俳優になりたい」といって家を出ました。

叶うはずがないと自分でもどこか思いつつも、必ず叶えたい、諦めたくない、という切実な思いだったはずです。

しかし娘が生まれたことで父となり、今度は自分の娘の夢を叶えることが彼の夢になりました。父となったはいいが、頑固ゆずりは父親そっくりで娘にどのように接すればいいのか分かりません。

 

 

父、一徹は昔ながらの頑固親父です。いつも偉そうで、自分の意見が通るまで絶対に自分の主張を曲げません。

だけどそんな一徹にももちろん優しい一面があって、自分の妻が認知症になったことをきっかけに、一度も料理をしたこともなかったのに妻のために毎日料理をつくるなど必死に介護をします。

また自分の息子である小鉄にも一見興味がないような素振りをしますが、実はどうやって接していいか分からないだけで実際には誰よりも小鉄のことを心配していたのです。

その証拠に、売れない俳優である小鉄の出演する映画を欠かさずチェックして「俳優 鈴木小鉄」というタイトルのビデオテープを密かに編集し、遠く見えないところで小鉄のことを応援していました。

 

次男の京介は優秀な会社員として、鈴木家の家族の中ではずいぶん成功しているように描写されています。

家族のなかに、同じ血が流れているはずなのに飛び抜けて優秀な兄弟っていたりしますよね?

みなさんの兄弟はどうですか?

ところで、優秀な兄弟に限って意外なところで抜けていたりしません?

今作の鈴木家の次男もすこし抜けていたようです。

 

natalie.mu

次男である京介を演じていたのは「あの」新井浩文です。(笑)

 

他にも三男は「You Tuber になるんだ!」とか突然言い出したりします。

 

さてどうしょうか?近くにいる誰かと似ていません?

鈴木家のメンバーひとりひとりをじっくりみていくと、どこか僕たち自身、または家族の誰かと似ていると思うんですよね。

 

だから、感情移入しやすい。

 

あくまでも物語でフィクションなんですけど例えば「ああ、なんか自分とこのお父さんに似てるよな」っていう気持ちになれる。

この「共感」できる登場人物の設定が今作の魅力だと思います。

 

ジェットコースター 終われば みんな笑顔かな

なんか俳句ちっくに言ってみました。

ジェットコースターって乗ってるときは怖いですけど、終わったあとってなんだか「楽しい気持ち」になりますよね。

 

ジェットコースターと言えば、僕自身も幼いころに家族みんなで遊園地に行った記憶があります。

僕は高所恐怖症なので、ジェットコースターを乗る前に死ぬ程泣きわめくわけですが

 

いいから乗るぞ!

 

と言って、父が半分くらいキレながら無理矢理僕を列に並ばせます。

実際に乗ってみるとやっぱり死ぬ程怖いわけですが、乗り終わって後に父が「楽しかっただろ?でも、怖かったな」と笑いながら僕の頭をなでてくれたことは今でも覚えています。そして乗り終わったあとは少しだけ楽しい気持ちになったことも。

 

僕は今作「台風家族」をジェットコースターみたいな映画と表現しました。

 

それは、台風が来てから通りすぎるまでのたった一日の間に、鈴木家にはたくさんのハプニングが発生するからです。

 

鈴木家はたくさん怒って、たくさん泣きます。だけどジェットコースターに乗ったあとみたいに、「台風家族」は最後にみんなが笑顔になって終われる、そんな映画です。

 

ブログ作成時間:30分

f:id:mitoramu:20190908215255p:plain

甲田まひるって子がすごく印象的だった。素朴なんだけど華があるというか・・・

↑ 調べてみたら小6でインスタからファッションモデルとしてデビューして、さらに現在はプロのジャズピアニストとして活躍しているらしいです。

演技はそれほどうまくなかったけど、作品の雰囲気には合っててよかったなー