死ぬまで「それ」がついてくる! 映画感想「イット・フォローズ」
365日映画カレンダー 10月26日 「イット・フォローズ(It Follows)」
おすすめ度
3:ちょっと拍子抜け。じわじわくる怖さはあったが、勢いがなかった。
【おすすめ度は1が低評価。5が高評価。あくまでも独断と偏見による評価です】
概要
感想
「それ」の設定はオリジナリティがあって面白い
どうやら今作はクエンティン・タランティーノが
「このホラー映画、めっちゃ面白いやんけ!」
と大絶賛したらしいです。
ほんとかよー。あの監督、適当そうだからなー。なんでも「面白いやんwwwワロタ!」って言ってそう。
僕の感想としては、主人公たちにせまる「それ」の設定はなかなか斬新でおもしろいと思うけど、勢いがないというか、最後まで淡々と物語が進行するので少し物足りなかった印象を受けました。
洋画ホラーって「どんっ!」ってな具合に急にアップになって脅かすシーンが多かったりしますが、今作ではそういったシーンはなかったです。
そういう意味ではホラーテイスト的にはジャパニーズホラーのような「じっとりとまとわりつく」怖さがありました。
さて、今作の最大の特徴でもある「それ」の設定をみていきたいと思います。
特徴①
「それ」は性行為を媒介にして人に感染させることができる
主人公であるジェイは美人大学生という設定で作中では若者らしく青春を謳歌しています。
ジェイは付き合いはじめたばかりの青年とさっそく行為をするわけですが、その青年は行為が終わったあとに態度が急変しジェイは薬で眠らされてしまいます。(エッチしたあとに急に冷める男って最低!笑)
気がつくとジェイは廃墟にいて、さらに車椅子に座らされた状態でした。
僕は初め
「次はそういうプレイなのかな」
と思っていましたが違いました。
青年があらわれて、親切に「それ」の設定をジェイと映画を観ている僕たちに説明してくれます。
青年「おまえに「それ」をうつした。「それ」をうつすのは簡単だ。誰かと寝ればいい。みろ・・・・きたぞ・・」
な、なにぃ。
この設定に僕は震え上がりました。
19歳のぴちぴち美人大学性であるジェイなら簡単に「それ」を感染させることができると思いますが、もし「それ」を感染させられたのが自分だったら?
冴えない30代のおっさんは風○にでも行かないと「それ」を感染させることができません。
もし僕が「それ」に感染してしまったらどうすることもできず「それ」に殺されてしますでしょう・・・・。恐ろしい・・。
というか、そもそも感染させてもらえる機会すらないからまず大丈夫なんだろうけど。
特徴②
「それ」は人間の姿をしていて、どこまでも追いかけてくる。その動きは非常にゆっくりである。
めっちゃゆっくり歩いてくるので、慣れれば割と余裕をもって対応できそうです。(笑)
ただ、人間の姿をしており「それ」は感染者にしか視認できないためぼーっとしていると「それ」がいつの間にか近づいていた、なんてこともありえる。
対策としては誰かと一緒に行動し、「ねぇ、あの人見える?」と確認するのが有効っぽい。
特徴③
「それ」は非常に頭がいい
正直この設定については違和感がありましたねー。
「それ」は言うならば自動操縦の機械みたいに淡々とターゲットを追いかけているという印象だったのに、意外と頭がいいという設定です。
実際に作中では石でガラスを割って家の中に侵入したり、せっかく「どこまでも追いかけ、殺す」ってのことをウリにしているくせに、追いかけるのを諦めて主人公たちに物をぶん投げてきたりします。物投げんなよ。
この頭がいいという設定はいらないと思いましたね。
「それ」はあらゆる人の姿になれるみたいなんで、まあ許容できる範囲としては「親しい誰か」の姿になりすましてターゲットを安心させてから襲う、くらいの頭の良さでとどめてほしかったです。
物をなげたりした時点で急に現実味がわくというか、親近感がわくというか、愛らしく思えてくるというか・・・・せっかく正体不明の怖さがあったのにそれを台無しにしてしまっている気がしました。
特徴④
「それ」に対して物理攻撃は有効
この設定もなかなか特殊で面白いなあと思った。
触れるんだ、っていう。笑
まあ相手がこっちに触ることができるんだから当然こっちだって同じように触れることができるが通常の考え方だと思いますが、「それ」はどっちかと言えば幽霊みたいな存在かなーと思っていただけに普通に物理攻撃が有効だったのには驚いた。
「それ」は感染者にしか目視できないわけですが
主人公の友人「「それ」はどこにいるんや?指をさして俺たちに教えてくれ」
主人公「そのへんや!」
主人公の友人「このへんやな!わかった。布をかぶせてみよう!」
ファサ・・・・・(何もないはずの空間に布が浮いている)
主人公の友人「そこや!みんなで攻撃やー」
ワーワー・・・
このシーンはなんだかシュールで面白かったです。(笑)
特徴⑤
感染した人が死ぬと「それ」はその前の感染者を再び襲う
この設定はいい!
つまり
感染者A → 感染者B
という具合に、AさんがBさんに「それ」を感染させたとして
Bさんが殺されると再び「それ」のターゲットはAさんに戻るよ、っていう設定です。
この設定もあるからこそ、主人公ジェイに「それ」を感染させた青年は「それ」の設定をジェイに教え、ジェイが死なないように「それ」の対抗策まで教えたんでしょうね。
ジェイが死んでしまうと「それ」がまた自分に戻ってきてしまうから、ジェイにはなるべく速やかに「それ」を誰かに感染させてもらって、とにかく自分のリスクを下げたかったというところでしょうか。
人間の「自分だけは助かりたい」という心理を巧みについている設定で非常によかったです。
結局「それ」はなんだったのか?
結論から言ってしまえば分かりません。
作中では明言されないまま終わってしまいます。まあ具体的にごちゃごちゃ説明されるより正体不明のまま終わる方が不気味な感じがしていいんですけどね。
「それ」の正体は結局分からないわけですが以下の2点に注目して自分なりに考察してみました。
①「それ」は人の姿をしている
考察ポイント→その姿は?感染者との関係は?
②なぜ性行為をすることで「それ」を感染させることができる?
考察ポイント→なぜ性行為なのか?
①に関しては、「それ」の姿は感染者が潜在的に恐怖を抱いている人間の格好をしているのではないか?と考えました。
なぜそう思ったかというと、実は今作、監督がみた夢がモチーフになっているそうです。監督は夢のなかで全然しらない人にただひたすらと追いかけられたそうで、そのとき抱いた恐怖がアイディアとなって今作が制作されたのだとか。
このことから僕は上記のように
「それ」=感染者が潜在的に恐怖を抱いている人物(知人に限らず、たまたま見かけた他人も含む)
その証拠に「それ」は感染者が全然知らない人の姿をしている場合もあるわけですがその姿は以下のようなものでした。
・大男
・裸の女性
・老婆
実は感染者が無意識のうちに、例えば町中、あるいは雑誌などで見た「ちょっとこの人怖いな」っていう人がイメージが「それ」になっているのではないか、というのが僕の考えです。
②について。
「生」の象徴である「性行為」によって、相手に「死」を感染させることができる
という対比関係をつくりたかっただけなのではないかと思います。もう少しヒントになるような描写があると良かったんですけど、作中ではほとんど語られていなかったのでこれは映画を観た人の想像になってしまいますね。
結論:
やっぱり「それ」の正体はよく分からん!(笑)
実際に映画を観て、「それ」の正体について自分なりに考察してみると面白いかもしれません。なんか面白い考察があったら教えてほしいっす
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